【仙台】今季引退の遠藤康「宮城のサッカー人口を増やす」Jチームで指導者にならず地元に還元
学生時代に立った憧れの地でスパイクを脱ぐ-。今季限りで引退を表明していたJ2ベガルタ仙台MF遠藤康(36)が21日、ユアテックスタジアム仙台で会見を行った。地元仙台市出身で、なかのFC、塩釜FCを経て、夢の舞台へ羽ばたいた。07年に加入した鹿島アントラーズで15年、22年に仙台へ移籍し3年、計18年のJリーグ人生を追憶しながら、今後の未来について思いをはせた。
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引退会見では異例ともいえる、イエローのジャージーで登場した遠藤は「まだ試合があるので、お願いできればってわがまま言いました」。12月1日のJ1昇格のプレーオフ(長崎戦)には選手として出場を目指す。「J1に昇格するので、その後だと忙しいので」と、昇格は当然のことと言い切った。最終節の引退セレモニーから10日あまり、目先にある決戦を真っすぐに見据えていた。
18年間のJリーグ生活で多くのタイトルを獲得してきた。「優勝した時はもちろん、何よりもこのメンバーでできるのはこの1年しかない、そういう中で仲間とサッカーできて幸せだった」とチームメートとボールに触れた日々をかみしめた。
引退の文字が頭に浮かんだのは、3年前の仙台移籍前。「仙台を戻るべき所に戻す」とJ1昇格に導く覚悟で地元に帰還。キャプテンとして挑んだ3年目、「今年はラストのつもりで挑んで、そういう中でもやっぱりけがとかで試合に絡めなかった。夏あたりからずっと考えていました」と決断に踏み切った。スタジアムは、学生時代から憧れの地としてピッチに立った縁深い場所。「地元仙台でサッカーをしている姿を今まで関わってくれた人たちに見せられて、その前で引退することができて幸せでした」と感謝した。
今後については、Jリーグチームでの指導者にはならないと明言。自身の原点でもあり現在代表を務めている「なかのFC」への還元と、「宮城のサッカー人口を増やすようなことはしたいですね」とサッカーを愛する子どもたちがひとりでも増えること願い、手を差し伸べていく。【高橋香奈】