【記者の目】大谷翔平7年間で3度目のMVP受賞 メジャー移籍前にだれが予想できただろうか
<記者の目>
7年間で3度目のMVP受賞を、メジャー移籍前にだれが予想できただろうか。たとえ本塁打、打点などのタイトルを取ったとしても、MVPは狙って取れるものではない。名実ともにリーグ最高の選手として認められることに、偉業という言葉以外、ふさわしい表現が見当たらない。米国内では、早くも将来の野球殿堂入りを確実視する声が聞かれるなど、大谷は間違いなく「世界一の野球選手」になった。
1931年に制定されたMVPの歴史でも、過去3回以上受賞した選手は、大谷を含め12人しかいない。そのうち、禁止薬物使用疑惑で選出漏れしたバリー・ボンズ、現在も資格を持つA・ロドリゲス、28年に有資格者となるアルバート・プホルス、現役のマイク・トラウトを除く7人全員が野球殿堂入りを果たした。裏を返せば、大谷が早くも殿堂入り当確との意見も、十分に説得力はある。
大谷が今後、投打ともにどんな成績を残していくのか。ただ、22年に投手として15勝、打者として34本塁打と大活躍した際、サイ・ヤング賞で4位、MVP争いでは満票のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)に次ぐ2位に入り、球界の常識を変えた。さらに、今季は史上初の「50本塁打&50盗塁」で周囲を驚かせた。となれば、「二刀流」として復活する来季以降、サイ・ヤング賞とMVPを同時受賞したとしても、もはや不思議ではない領域に入ってきた。
ド軍と残り9年の契約を含め、大谷の歩む道がどこまで続くのかはだれにも分からない。現在、メジャーで38勝、225本塁打。日米通算では80勝、273本塁打の通算成績を、どこまで伸ばしていくのか。予想することさえ無意味に感じさせるほど、大谷は唯一無二の存在になった。【MLB担当=四竈衛】