会見でほほ笑む王氏(撮影・滝沢徹郎)

「世界の王」と「世界一の大谷」がタッグを組む日が来るかもしれない。王貞治氏(84)が20日、都内で会見を開き「球心会」の立ち上げを表明した。プロアマ各団体と協力し、100年後の未来を見据えたもの。野球振興を掲げるが、他競技も含むスポーツ全体の盛り上げを描く。ソフトバンク球団会長としてではなく、一個人として動いた。将来的には、ドジャース大谷翔平投手(30)とも協働したい希望を明かした。

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マイクを握る王氏の言葉に熱がこもった。「野球はスポーツの中で一番だと思ってますが、いつまでもそうとは分かりません。サッカー、バスケット、バレーボール。プロ化し、多様化している。現在の(野球の)盛り上がりを先々にも絶対に」と訴えた。

「球心会」は6月に議論を開始した。この日はオーナー会議で12球団に訴えたが、社会人、学生、女子、軟式、独立リーグ、ティーボールといったさまざまな団体とも、王氏自ら話を重ねてきた。3つの課題が見えた。(1)野球ができる機会不足、(2)野球熱の低下、(3)日本マーケットの縮小。解決には、各団体ばらばらではなく、オール野球界で取り組むべき。その体制・組織づくりを急ぐ。25年3月に体制を、同11月に第1弾アクションを発表予定だ。

取り組みは「BEYOND OH! PROJECT」と名付けた。「OH」は王氏だけでなく、大谷でもある。2人を超える世界的ヒーローを生み出す思いを込めた。王氏は「大谷君が素晴らしい活躍をしてくれるので、今や野球をやっていない人でも大谷君の名前と野球に関心を持ってくれている。そういうときこそ、我々は立ち上がって将来に向かって話し合うべき」と語った。大谷が全国の小学校にグラブを贈ったのに続く活動を-。最後に、こう付け加えた。

「彼が賛同してくれたら、こんなにうれしいことはありません。だけど、彼は現役。邪魔はしたくない。いずれ彼も卒業するでしょうから、卒業したら一緒に歩んでいきたい」

引退後の大谷とともに、スポーツに彩られた未来を描く。【古川真弥】

◆具体的なアクション プロジェクトを進める例として「幼少期ベースボール原体験」「地方創生ボールパーク開発」「次世代メディア巻き込み」「野球指導者向けスクール」「アジア市場開拓」「法人&基金立ち上げ」が挙げられた。

▽巨人山口オーナー 単純な野球振興の枠を超えて、王さん、大谷翔平くんといった世界的なヒーローを日本から生み出していこうというプロジェクト。野球に興味のない人まで共感を持ってもらうという非常にいい提案。ぜひ本気で取り組むべきだと思う。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 「世界の王」と「世界一の大谷」がタッグ?王貞治氏「球心会」立ち上げ「卒業したら一緒に」協働希望