阪神佐藤輝は安芸での秋季キャンプを終え笑顔で引き揚げる(撮影・上山淳一)

輝にリーダーの風格! 阪神藤川球児監督(44)が17日、指揮官として初のキャンプを終えて、若手を引っ張った佐藤輝明内野手(25)を絶賛した。高知秋季キャンプを17日に打ち上げ、最終日にチームの中心でウオーミングアップする姿を評価。「たったこれだけで、それだけ変わる。オフも、放っておいても大丈夫」と信頼の“放牧宣言”だ。主砲の自覚の芽生えに新戦力の底上げと、収穫の多い秋に納得した。

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秋季キャンプ最終日。藤川監督の目をひいたのは、ウオーミングアップを行う佐藤輝の自然な姿だった。

「(秋季練習)初日は甲子園でストレッチしても、前の方を向かずに自由にやっていた。今日の最終日は完全に、佐藤選手が真ん中で、それをみんなが見るような形になっていた」

若手とともにじっくり汗を流すうちに、自然と芽生えたリーダーの意識。あえて離れた場所から静かに見ていたという指揮官は、うれしそうに話した。「たったこれだけで、それだけ変わるんですよね」。

キャンプ前には姿勢で引っ張れと「リーダー指令」を出していた。「オフの取り組みも、チーム全体を見た上での取り組みをすると思いますから、放っておいても大丈夫だと思います」。もう口を出さないと明言するのは、信頼と期待の表れだ。

佐藤輝自身もきっぱりと自覚を口にした。「見られてもいいように。はい、やっていたつもりです」。藤川監督の“放牧宣言”を伝え聞くと「しっかり、はい。やることをやって準備したい」。これから訪れるオフへ、地に足を着けた。

もちろん姿勢だけではなく、技術面でも変化を見せた。小谷野打撃チーフコーチのもと「最大出力アップ」をテーマに打ち込み、打球速度はNPBでトップレベルとされる170キロがコンスタントに出始めた。課題の守備でも高卒1年目の山田と特守を受けるなど日々向上。心技体の取り組みが藤川監督をうならせた。

「(他の選手が)彼のことを見るまなざしとか、ファンの人の多さ、誰がこれだけ高知に来たファンの方を喜ばせているか、自覚ですよね」

主砲のさらなる成長と、たくさんの期待の若手の底上げ。「次世代と今のトップの素晴らしい選手とのかみ合わせ。来年の春に向けて少し準備はできたかなと思います」と指揮官が手応えを得た17日間。その中心にいた主砲が、キャンプ後もチームを引っ張る。【磯綾乃】

○…阪神藤川監督が“地獄”の沖縄春季キャンプを予告した。「2月はすごく練習量が増える。来年1年間シーズンを戦っていく上で必要な体力を身につけなければいけないので」と明言した。今キャンプで掲げたテーマ「没頭」は春も継続する予定。また、オフへ向けても「自分で学ぶのは構わないけど、それが成績につながらないと、僕は判断はものすごく早いので。そこでは一瞬でチャンスがなくなる」と引き締めることも忘れなかった。

▼阪神田中内野守備走塁コーチ(今キャンプでの佐藤輝の守備について)「頑張ったと思う。今シーズンの悔しさだったり、来年に向けた気持ちが伝わった。本人とも話して『いい練習ができた』と。あとは継続してやっていければ」

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】佐藤輝明ウオーミングアップ姿にリーダーの風格!藤川監督も絶賛「みんな見るような形」