【ロッテ】井上晴哉「皆さんの声援に応えることが自分の中で厳しいと判断」/引退スピーチ全文
今季限りで現役引退するロッテ井上晴哉内野手(35)の引退セレモニーが17日、ZOZOマリンでのファン感謝デー「MARINES FANFEST 2024」内で行われた。
アジャの愛称で親しまれ、11年間で通算76本塁打。さも当然といった表情で「泣かないッスよ」と笑っていたが、泣いた。紅白戦にサプライズ代打で登場し安打。「詰まりました。思い出の詰まった最高のヒットです」と言葉を詰まらせた。
引退セレモニーでは5分近くにわたり、思いを口にした。
「11人、年間…」
いきなりかんだ。
「すいません。ふぅ。11年間、お世話になったこの球場、このユニホームにお別れをする時が来ました。皆さんの熱いご声援に応えるためにいっぱい練習し、なんとか結果で見せられるよう毎日の試合を気持ち入れて、熱い気持ちでやってきましたが、皆さんの声援に応えることが自分の中で厳しいと判断し、引退します」
右目を右腕でこすった。
「これまでたくさんの恩人にたくさんの言葉をいただき、経験して学んでこれました。今後のその経験と学んだことを伝えていきたいと思います」
手を腰に置く。
「振り返るとこの11年間、1軍、2軍を行ったり来たりといろいろな経験をし、2018年からやっと出られるようになり、自分も持っているものを出すことができました」
つばをのみこむ。
「常にファーストで出てる僕の後ろで、後輩である中村奨吾がいつも厳しい言葉をくれていたので、ここまでできたのかなと思います。中村はいま選手会長としてチーム全体を見ていますが、彼にもこれからもっと頑張ってほしいと思います」
拍手が起きた。口元が何度も動き、何度もすすり、何度ものみこむ。
「最後になりますが、カープファンである僕はマリーンズに入り、ここで終われること、幸せに思います。僕はマリーンズが大好きです。本当に、悔いはありません」
もう1度のみ込んだ。
「今日で引退します。皆さん、ありがとうございました」
本塁、一塁、三塁、右翼、左翼。5つの方向へ丁寧に頭を下げると、愛する仲間たちとの抱擁が待っていた。【金子真仁】