松本との練習試合でドリブルでボールを持ち上がる東京Vの松橋優安

東京ヴェルディが17日、J3所属の松本山雅FCと45分2本のトレーニングマッチを行い、1-1で引き分けた。

主力組は午前中にトレーニングを実施し、サブ組でゲームに臨んだ。相手も前日にJ3の公式戦(対FC琉球、2-1勝ち)があり、出場時間の少なかった選手や控え組だった。

試合は後半18分、ショートCKを起点に左サイドでつながれ、最後はMF国分龍司にニアサイドに押し込まれて先制点を許した。

しかし同30分に抜け出したFW染野唯月がエリア外から右足シュート。GK神田渉馬にセーブされたが、そのこぼれ球を拾ったFW白井亮丞が左ゴールライン際から左足で鮮やかにゴールネットを揺らした。

このトレーニングマッチではベンチに座った交代選手はGK1人、フィールド選手2人だけだった。公式戦が少なくなり、控え組の実戦が不足している背景がある。城福浩監督は「やり切らしたいなという思いがあったので、サブもミニマムにした」と明かした。

そんな中、MF松橋優安(23)のプレーは見るべきものだった。

前半に右ウイングバック、後半はボランチで出場した。もともと縦への推進力のあるアタッカーだけに、ボランチでのプレーは今後への含みを持たせるものだった。

今季は両サイドのウイングバック、サイドバックをこなしてきた。ただ練習では継続してボランチにも取り組んでいたという。複数ポジションへの挑戦について松橋は「いろんなポジションをやらせてもらえるっていうのは、本当に今後のサッカー人生につながりますし、それぞれ求められることだったり、余裕だったりも生まれてくるので、そこはプラスに捉えています」。

また、ボランチについては「360度から相手が来るので、周りを見て、ボールを持った中でもしっかり相手を見て判断という仁志さん(森下ヘッドコーチ)の練習で求められていることがまさに生きるポジションだと感じています。前だったら考えられなかったポジションでしたが、1年間やり続けてきたからこそ、そこでも成長を感じられています。伸びしろを感じるし、まだまだ自分自身、成長できるなっていうのは感じているし、充実感があります」と振り返った。

一見、意外にも映る「ボランチ松橋」について、城福監督はこう意図を説明した。

「彼のボールを収める力とボールを刈り取る力は、我々はずっと注目しています。球際のところも速いんでね、彼にはそこの可能性も感じながら。紅白戦の時は実はボランチを何回かやっているんですけど、練習試合ってほとんどやったことがなかった。実はそこのポジションが一番薄いところでもあるので、彼が今日表現してくれたというのは我々の期待通りでした。球際のところもほとんど彼が刈り取っていましたし、今持っているものを出し切るという、ずっとやってきたことを今日もやってくれたなというふうに思っています」

松橋は前半スタートから攻守に渡って献身的に走り、後半37分には両足がつったため途中交代となった。「もっと走れたと思いますし、自分の課題だと思います。もっと走りきれる体作りをしていかなきゃいけないなっていうのを感じています」。

今季もあと2試合。現在6位のチーム順位を1つでも上へ上げることはあるが、それ以上に見るものに驚きや興奮を与えるため、ヴェルディは戦い抜く。それを踏まえ、松橋は「残り2試合ですけど、やっぱりここのピッチでやった選手が次の試合のメンバーにも立つ権利があるっていう意識で挑んでいます。今年、自分が成長したという姿をピッチの上で出したい」。

1試合も無駄にできない。目の前のことに全力で取り組む姿勢こそが、城福監督が選手に求めてきたもの。キーワードは「成長」。松橋の姿はチームの姿とも重なっている。【佐藤隆志】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【東京V】ボランチ松橋優安、城福監督「我々の期待通り」ボール収める力と刈り取る力を高評価