【ソフトバンク】屈辱的大敗で日本一逃す 「新しさ」に見極め必要 「敗者」として謙虚な姿勢も
<日本シリーズ:DeNA11-2ソフトバンク>◇第6戦◇3日◇横浜
ソフトバンクは「日本一」の称号を手にできなかった。セ3位から勝ち上がったDeNAに2勝から4連敗。91勝を挙げリーグを圧倒した力は発揮できなかった。
今季は球団創設20シーズン目。節目の年だった。ホークスはこの20年間で7度のリーグV。「私は縮小均衡よりも拡大均衡がいい」。孫オーナーの思考は小さくまとまることを嫌う。常に拡大の思想が通底。親会社ソフトバンクグループの経営戦略も携帯事業の「情報」から新ビジネス投資、さらに近未来を見据え「AI戦略」へと、勝負手を打ち続けている。
「1番以外は敗者」。孫オーナーから指示も飛ぶ。あらゆるデータ活用でチーム強化。科学的なアプローチで変革。今オフにも本拠地ドーム内に打撃練習場を新設予定。対戦投手の球速、ボールの回転数や回転軸を忠実に再現する最新鋭の打撃マシンを設置する。FA&外国人補強は名指しでの獲得指令も下る。契約年数の総額なら軽く100億円(推定)を超える莫大な資金をつぎ込んで近藤、オスナ、有原、山川らを獲得。他球団もため息の「投資」に惜しみない。
昨秋の就任会見での小久保監督の言葉は印象的だった。常勝へ向け「古きよきものと、古くさいものの選別」-。ただ「古きよき」ものの嗅ぎ分けは非常に難しい。「古くささ」の中にくるまれる「神髄」のようなものもあろう。ホークスにはそれを識別し、先導する「主語」がまだ明確になっていない。現場は小久保監督に任せても、球団としての確固たる姿はおぼろげだ。
「新しさ」にも慎重な見極めが必要だ。データが人を活用するのでは本末転倒。「新しさ」に傾倒しまい、本質を見失ってしまうこともあろう。バットを振る体力のない選手、制球のない投手にデータだけを詰め込んでも好結果には導けない。筑後のファーム施設でも試行錯誤は続いていると聞く。
4年ぶりのリーグ覇者となりながら、屈辱的な大敗でシリーズの幕は下りた。悔しいが「敗者」として謙虚な姿勢も必要となった。
◆ソフトバンク王球団会長(4年ぶりの日本一を逃し)「1試合ごとにDeNAは強くなった。勝利への執念というか執着心が強かった。シリーズは負けたけど、小久保監督は1年目から選手の長所を引き出してくれて(シーズンは)91勝したし、監督の功績は大ですよ」