名古屋対新潟 ルヴァン杯を手に笑顔の名古屋長谷川監督(撮影・宮地輝)

<YBCルヴァン杯:名古屋3(5PK4)3新潟>◇2日◇決勝◇国立競技場

雨中の死闘を制した名古屋グランパスが、21年以来2度目の優勝を飾った。前半31分と42分にFW永井謙佑(35)が決めながら、後半新潟に追い付かれて延長に突入。延長前半3分に再リードしても同後半6分に再び失点する激動の展開となったが、最後はPK戦の末に勝利した。長谷川健太監督(59)は選手時代も含めて4度目の大会制覇。勝負強さを発揮してクラブ5つ目のタイトルをもたらした。優勝賞金1億5000万円。新潟はクラブ初のタイトル獲得を逃した。

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大激戦を制した瞬間、名古屋の長谷川監督はスタッフと抱き合って喜びを爆発させた。「ファミリーの皆さんが本当に熱い声援を送ってくれた。あんなに笑顔で喜んでもらえたのが本当に幸せ」。大会史上最多6万2517人が詰めかけた超満員の国立で、2度追い付かれてPK戦にまでもつれた末の戴冠に安堵(あんど)の表情を見せた。

この大会には誰よりも強い思いを持って挑んできた。今季リーグでは苦戦し、直近も3連敗となっていたが、それには理由があった。「10月はほぼルヴァンに懸けていた。何としてもこのタイトルは取らなければいけないと臨んでいた」。日々の調整や選手起用、戦い方の全てを、この決勝を見据えて選択してきた。「本来そうではいけないと思うが」と葛藤しながらも思い切った決断をすることで、大きな結果を手にした。

監督として3度目のルヴァン杯制覇は史上初。くしくも2-2で延長に入り、3-3からPK戦5-4勝利というスコアは、自身がプロ選手として初めてタイトル獲得した96年の清水と同じ。14年のG大阪では森保監督率いる広島に0-2から逆転勝利もしており、あらためて勝負強さを見せつけた。

視察した森保監督が「勝負師としての力を持っている名将」と話した指揮官は、この日も確かな判断とマネジメントでチームを頂点に導いた。後半終了間際にPKを献上したMF中山に「信じてるぞ」と声をかけて延長前半の勝ち越し弾につなげ、PK戦では当初5番手だったDF河面が蹴れない状態と聞けば「決してPKがうまい選手ではない」というFW山岸にキッカーを任せて歓喜の瞬間を作り出した。

FC東京でも指揮官と同大会を制した経験を持つFW永井は、3度優勝した監督がいないと知って「ちょっと頑張ろうかなと思った」。その意気込みを長谷川監督にささげる2ゴールという結果で貢献。確かな師弟愛の強さを示した。

厳しさを持ちながらも、判断を下した後は選手を信じ続けることで、チームをまとめた指導者が、見事にJ60クラブの頂点に立った。【永田淳】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【ルヴァン杯】「懸けていた」2度目V名古屋・長谷川監督は「勝負師の力持つ名将」森保監督称賛