先制点を決めるモナコ南野拓実(ロイター)

<UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL):モナコ5-1レッドスター>◇22日(日本時間23日)◇モナコ◇1次リーグ第3節

モナコ(フランス)の日本代表MF南野拓実(29)が、レッドスター(セルビア)戦にフル出場して2得点を挙げ、5-1の快勝に貢献した。ザルツブルク(オーストリア)時代の19年11月27日のゲンク(ベルギー)戦以来となる5年ぶりのCLゴールで、通算得点は香川真司(現C大阪)に並ぶ日本人最多の4。アシストもマークし、マンオブザマッチにも選出された。チームは今季公式戦11試合負けなし(国内6勝2分け、CL2勝1分け)で、無敗ロードを突き進む。

ラインブレイカー、南野の真骨頂だった。「あの瞬間、オフサイドかと思った。後ろを見ると、すべての選手が止まっていた。オフサイドかどうか分からなかったのでプレーを続けた」。前半20分、相手DFラインの動きに合わせていったん下がると、すぐに相手最終ラインの先へ。完全フリーで縦パスを受けた。映像で奥の選手の左手が残っていた。達人の領域だった。

後半25分にはカウンターから機を見てゴール前へ走った。右からのパスを受けると難なくワンタッチで沈めた。CLでの1試合2得点は、香川がドルトムント在籍時の16年11月28日レギア・ワルシャワ(ポーランド)戦で記録して以来、日本人史上2人目となった。

あと3カ月で30歳を迎えるが衰え知らず。「史上最強」の日本代表でも世代交代の波に抗いシャドーの定位置をつかむ。なぜ南野は輝けるのか? オーストリア人ヒュッター監督の存在が大きい。14年のザルツブルク加入1年目の恩師でもある。リバプールから22年夏にモナコへ渡り、1季目はリーグ戦18試合1得点で終了。衰えがささやかれた中、2季目にヒュッター監督が就任した。状況は好転し、30試合で9得点6アシストと見事に復活を果たした。

そして迎えた3季目。個で剥がせるスピード、テクニックはない。最大の持ち味はスペースを瞬時に見つけ出す状況判断の速さ。トップ下として前線に張ることを求められる。その役回りこそ、ラインブレイカー。FWエンボロがセンターバックを引きつけ、その背後から飛び出す。それは日本代表にも生かされる。「(得点数は)できるところまで伸ばせればいい。うれしいけど喜びすぎず、また次も頑張りたい」。地に足を付け、今を生きている。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【欧州CL】モナコ南野拓実が日本人2人目の1試合2発 1点目は「すべての選手が止まっていた」