イニエスタ

元スペイン代表のMFイニエスタ(40)が8日、バルセロナ市内で引退セレモニーを実施した。そのもようをスペイン各紙が伝えている。

20年以上にわたるプロキャリアに終止符を打つことを決めたイニエスタはこの日、家族と一緒に同セレモニーに出席した。

さらにバルセロナのラポルタ会長、フリック監督、ガビ、ダニ・オルモ、アンス・ファティ、アラウホ、シャビ氏やピケ氏などが参加した。

イニエスタはまず「この特別な日に参加してくれた全ての人たち、そして来られなかった皆に感謝したい。今日は感情的になることを許してほしい。まさかこんな日が来るなんて…」と涙を浮かべながら口を開いた。

続けて「こんな日が来るとは思ってもみなかったが、ここのところ流した涙はすべて、感動や誇りの涙だ。悲しみの涙ではない。サッカー選手になるという夢を持っていたフエンテアルビージャ出身の少年の涙だよ。そして僕はそれを成し遂げた。多大な犠牲と努力を払い、決して諦めなかった。その価値観は自分の人生において必要不可欠なものだったし、だから今日、僕はそのすべての道にのり大きな誇りを感じている。自分が最も望んでいた、プロサッカー選手になるという夢をかなえられたことをとても幸せに思う」とコメントした。

その後、アルバセテ時代や家族のことなどを次々と語り、バルセロナ時代については、「ラ・マシア(※かつてカンプノウの側にあったバルセロナの下部組織の選手寮)は僕を永遠に変えてくれた。あそこは人生で持つべき、すべての価値観を高めるのに最適な場所だった。感謝してもしきれない。バルサに加入するのは夢だったし、それをかなえることに集中していた。自分が望んだこと、目の前にあるすべての夢をかなえるためにベストの場所に来るということから目をそらすことはできなかった」と言及。

そして「マシアからカンプノウを何日も見ていたし、その選手たちやチームメート(シャビ、プジョル、グアルディオラ、リバウドなど)と一緒にいられる機会を得たことは信じ難いことだった」と振り返った。

ワールドカップ(W杯)初優勝を成し遂げたスペイン代表については「僕にとって代表は別次元のものだ。何千人もの選手の中から選ばれるんだからね。スペイン代表の最高の時代にいられたことを光栄に思っている。代表のためにプレーし、その成功のために戦ったすべての選手たちのことを忘れることはできない。特に(監督の)ルイス・アラゴネス、ビセンテ・デル・ボスケ、ロペテギには、彼らが僕に示してくれた愛情と敬意により感謝したい。すべてがあのW杯でのゴールの1枚の写真(※決勝オランダ戦でイニエスタがゴールを決めた瞬間の写真)に集約されている。でもあのゴールは僕たち全員で決めたものだ。戦った僕たちやサポーター、すべての選手たち。みんなの魔法があれを可能にしたんだ。そしてハルケ(※イニエスタの親友。エスパニョールに所属していた09年8月に心臓発作で急死)も助けてくれた。あの時代にいられたことを光栄に思う」と興奮気味に語っていた。

またイニエスタはヴィッセル神戸時代について、「僕たちは18年に最も難しい決断のひとつを下したんだ。日本へ行くためにバルサを退団するということだったので多少のリスクがあったからね。でもその5年間を素晴らしい経験だった。つつましいクラブと一緒にチームを築き上げる機会を得た。今のヴィッセル神戸とはまったく違っていたし、大きな誇りに感じている。家族にとってもこれまでで最も美しい経験だった。神戸と日本は、僕たちを信じられないほど、素晴らしい形で歓迎してくれたし、自宅のように感じさせてくれた」と充実した日々を過ごせたことを強調していた。

最後に自身の将来について、「サッカーから遠く離れることはできない。サッカーは僕の人生であり、今後も続き、ある意味、次の日のために一歩一歩積み上げてきたものだからね。僕たちは今さまざまなプロジェクトに取り組んでいるし、僕たちが経営しているクラブやアカデミーのプロジェクトで学び、失敗し、成長する必要がある。今後もそれを維持していきたい。また、すでにコーチングスクールにも通い始めている」と明かしていた。(高橋智行通信員)

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 「まさかこんな日が来るなんて…」 イニエスタが引退セレモニー実施 「皆に感謝したい」