登壇するサッカー日本代表森保監督(撮影・河田真司)

日本サッカー協会(JFA)は3日、千葉市内で、26年W杯北中米大会アジア最終予選サウジアラビア戦(10日、ジッダ)、オーストラリア戦(15日、埼玉ス)に臨む代表27人を発表した。今夏、イングランド2部ブラックバーンに移籍したFW大橋祐紀が28歳で初選出された。大けがを何度も経験した遅咲きの苦労人は、今季クラブで開幕5試合で4得点を記録し、森保一監督の目に留まった。敵地で過去3戦全敗と鬼門のサウジアラビア戦をものにし、日本へ戻ってくる。

   ◇   ◇   ◇

異例の初選出となった。経験値がプレーに直結しやすい中盤や守備陣ではなく、前線のポジションで世代別代表経験のなかった大橋が28歳2カ月で選ばれた。

湘南でプロキャリアをスタートさせた点取り屋は、今季広島へ移籍すると11得点を挙げ、夏に「年齢的にも最後のチャンスになる」と海外へ羽ばたいた。ブラックバーンでも勢いは止まらず、クラブ史上72年ぶりのデビューから公式戦3試合連続得点をマーク。リーグ戦でも4得点で代表スタッフも放っておけなくなった。

苦労人の遅咲きストライカーだ。八千代高1年時にチームが出た全国高校選手権はCチームでスタンドから応援した。中大時代に関東2部の得点記録を更新して期待されたが、プロ1年目の19年に右足の前十字靱帯(じんたい)損傷などの大けがを負った。再起をかけた2年目にも右反復性肩関節脱臼で長期離脱。芽は出なかった。昨季は開幕戦でハットトリックも直後に3カ月の離脱を経験した。

爆発力が売りだ。昨季は3カ月離脱も後半戦に11試合9ゴールと量産し、最終的には13得点でチームをJ1残留に道いた。その間に3戦連発以上が2度。4戦連発を決めた際には同じ記録を持つクラブOBの元日本代表呂比須ワグナー氏(55)から「彼の方が上、彼の方が上手だと思います。間違いない!」と太鼓判を押された。本人は記録がかかっても欲張ることはなく「チームが勝つために全力を尽くすだけ」と愚直な姿勢を貫いていた。

多くの選手に希望をもたらす初のA代表となる。将来を見据えて、同程度の力であれば、若い選手が優先される世界で選ばれた価値は高い。森保監督にも「若手であれ、ベテランであれ、明らかに結果を出し、存在感を発揮していれば、誰にでもチャンスがある」と言わしめた。重要な2連戦で、自身の存在価値を証明する。【佐藤成】

◆大橋祐紀(おおはし・ゆうき)1996年(平8)7月27日生まれ、千葉県出身。千葉の下部組織から千葉・八千代高-中大。18年に特別指定選手として湘南でJリーグデビュー。翌19年に正式加入。同年4月28日鳥栖戦でプロ初ゴールを決めた。J1通算112試合31得点。尊敬する人は本田圭佑。181センチ、76キロ。

◆日本代表「FW」の年長デビュー Jリーグ創設以降では28歳が最年長。97年の呂比須ワグナー(平塚)と森山泰行(名古屋)、13年の豊田陽平(鳥栖)、17年の阿部浩之(川崎F=クラブではMF登録)と過去4人。森山は順大時代に代表に初招集されたが、他の3人は28歳で初選出されてデビューを果たした。

【26年W杯北中米大会アジア最終予選】

▽第3戦

サウジアラビア-日本

(56位) (16位)

●キックオフ 10日午後9時(日本時間11日午前3時)

●会場 キング・アブドゥラー・スポーツ・シティー

●テレビ放送 DAZNで生配信

▽第4戦

日本-オーストラリア

(16位) (25位)

●キックオフ 15日午後7時35分

●会場 埼玉スタジアム

●テレビ放送 テレビ朝日系で生中継、DAZNで生配信

※カッコ内はFIFAランキング

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【日本代表】遅咲きの苦労人FW大橋祐紀が28歳で異例の初選出 爆発力売りに存在価値証明する