第20回日本サッカー殿堂掲額式典に出席した元日本代表監督のザッケローニ氏(撮影・佐藤成)

日本サッカー協会(JFA)は29日、都内で第20回日本サッカー殿堂掲額式典を行い、元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏(71)が出席し、日本への経緯を示した。

昨年2月には自宅で転倒し、頭部を強打して集中治療室(ICU)に入院したことが地元イタリアメディアに伝えられていたが、つえなどをつくこともなく、歩いて会場入り。元気な様子をみせた。

監督キャリアの中でイタリアでACミランやユベントス、インテル・ミラノなど数々の名門を率いてきたが、「監督人生の一番の誇りは日本代表チームを率いたこと。イタリアの友人は、インテル、ミラン、ユベントス、ラツィオの監督をやったことを言ってくれるが、一番の誇りは日本代表の監督だった。私自身もいい意味で楽しむことができました」と振り返った。

「ザック」の愛称で親しまれた名将は、14年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会まで日本を率いた。初采配となった10年のキリンチャレンジカップで、メッシ擁するアルゼンチンに歴史的な初勝利を挙げ、本田圭佑や香川真司、長友佑都ら擁した11年のアジアカップ(杯)カタール大会を制した。欧州の強豪とも多くの名勝負を演じた在任期間の思い出深い試合を問われると「たくさんあります」と断りつつ「ベルギーホーム3ゴールはFIFAのレコードですね。オランダとの試合も、パリで勝った試合もそうですし、良いチームですよね。今でもまぶたの裏に、脳裏に刻み込まれている」と列挙した。

一方で、W杯本番では1次リーグ初戦のコートジボワール戦で逆転負けを喫し、第2戦のギリシャ戦でドロー。第3戦コロンビア戦では1-4で大敗し、1次リーグ敗退に終わった。特に初戦は悔いが残っているといい「準備ができていなかったんだなと感じた。みんなここを戦って勝ち抜く心構えができていると信じていた。そこが私のミスだった」と反省を口にした。

とはいえ当時はそれが精いっぱいだった。「すごく優秀な選手たちだった。だから当然、自分たちをすごい選手だと信じきっていると思ったが、全員ではなかった。監督としてのミスだった。全員に自信を持たせるべきだった」とチーム全員にW杯優勝を心から信じさせられなかったことが心残りだ。

現在の森保ジャパンは、W杯優勝を目標として掲げている。欧州トップクラブでプレーする選手も増えており、9月のW杯北中米大会アジア最終予選でも大勝スタートを切った。歴代最強ともいわれる現代表への助言を求められると「全員が本気で同じくらい勝ちたいと思うのが一番大事。私は逆にプレッシャーを与えないようにするとおもいます。毎日少しずつ、そうだ勝てるんだ、勝つんだという思いを増やす。少しずつ育むのが大事。勝つ気持ちを育てて、気持ちを大きくしていくのが大切」と説いていた。【佐藤成】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【サッカー殿堂】元日本代表監督ザッケローニ氏「一番の誇りは日本代表チームを率いたこと」