町田・昌子(2024年9月21日撮影)

FC町田ゼルビア主将のDF昌子源(31)が、サンフレッチェ広島との天王山へ強い覚悟を示した。

同じ31試合を終えて勝ち点59で並び、得失点差で5上回る(広島+29、町田+24)首位の広島と28日にアウェーで直接対決となる。26日の町田市内での練習後、メディアの前に現れた男の表情は引き締まっていた。

「もう言うことないです。もうここまで来たら。ほんまに広島さんのこと、どうこうっていう感じやと思うんですけど、もう強いのは分かってるんで。タレントもいっぱいいますし、勝負どころの強さっていうのも彼らは持ってるんで。でも僕が言えるのは、それでも勝ちます」

さらに念を押すように「そのひと言です。これで僕らの気合が分かってくれるんじゃないと。普段は僕はしゃべる方やと思いますけど、もう(話は)終わり。もう勝ちます、絶対に。ホームでまけているんで、やり返します」。

そう言ってきびすを返し、クラブハウスに向かって歩き出した。まさかの30秒の受け答えでの終了に、報道陣からは冗談でしょ、とばかりに「いやいやいや」と声が上がった。それでも「これが俺の一番さ、伝わるでしょ」とひと言。

さらに報道陣から「クワガタの話は?」と質問が上がったが、振り向かずにクラブハウスへとスタスタと歩いていった。

そのクワガタとは? 前節21日の北海道コンサドーレ札幌戦(0-0)で試合がストップした際、昌子は何かを手にピッチの外へと歩いた。その手のひらには、なんとオスのクワガタがいた。安全な場所にそっと置いて何事もないように戻った。自然豊かな深い森の中にある本拠地スタジアムで、勝負とは異なるほっこりさせる姿。X(旧ツイッター)でその奇跡のワンショットが取り上げられ、撮影者は「クワガタの恩返しがあるといいな」とつづってた。

雄弁な男があえて黙することで示した勝利への強い思い。誰もが認めるゼルビアの「バンディエラ(旗手)」。J1初昇格1年目での優勝という史上初の偉業に向け、クワガタのごとく兜(かぶと)の緒を締めた。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【町田】昌子源、クワガタの恩返しなるか?広島との天王山「強いのは分かってる。でも勝ちます」