準優勝に悔しい表情の新潟医療福祉大・秋元主将(左から2人目)(撮影・小林忠)

<総理大臣杯・全日本大学サッカートーナメント>◇15日◇決勝◇いわぎんスタジアム

新潟医療福祉大(北信越1)は阪南大(関西6)に1-2で敗れ、全国初制覇は持ち越しとなった。

試合開始直後、MF田沢夢積(3年)の今大会2得点目で先制。だが、同3分に左CKの流れから同点とされる。後半はMF松本天夢(4年、J2長崎内定)を軸に攻め立て、守備もDF秋元琉星主将(4年、J2群馬内定)を中心に跳ね返したが、同追加タイム4分に再びセットプレーから逆転された。佐熊裕和監督(60)は神奈川・桐光学園高を率いた時代から自身3度目の全国決勝だったが、またも頂点に立てなかった。

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延長戦突入かと思われた1-1の後半追加タイム4分。左FKをニアで合わせられ、痛恨の失点。それでも下を向かず、最後はパワープレーで同点を狙ったが、試合終了のホイッスルが鳴ると選手たちはガックリと手を膝にやり、顔をゆがめた。22年度のインカレ決勝でも2-2の後半追加タイム3分に決勝点を許し、準優勝。秋元主将は「あの時間の怖さは全員に伝えていたが、もっと強く伝えるべきだった…」と悔いた。

試合は田沢の電光石火のゴールで先制。直後に1-1とされるも後半は松本を中心にゲームを完全に支配。多くの決定機を作ったが、この日2点目を狙った田沢のシュートがポストをたたくなど仕留めきれなかった。佐熊監督は「決めるべきところを逃せばこうなる。典型的な形だね」と振り返った。

佐熊監督はこれまで50人以上のプロ選手を輩出するが、全国のタイトルとは無縁。桐光学園高では全国高校選手権に7度出場も、96年の準優勝が最高順位。14年に同大の監督に就任し、22年度のインカレで初の決勝進出に導くも、そこでも一歩、及ばなかった。3度巡ってきた全国決勝の舞台でも結果が出ず「(決勝で)勝つのは難しいね…」と空を見つめたが、「選手はよくやったよ」と、表情はどこか晴れやかだった。

指揮官は高校年代でそれぞれ違うエッセンスの指導を受けてきた選手の個性を生かしながらチーム作りを進める。今大会は主力2人を欠いたが、白石蓮(1年)が左DFで躍動。センターバックの細井響(3年)はアンカーで起用され力を発揮した。試合途中出場の選手も得点に絡むなど、全国でチームの土台をアップさせた。「いい財産になったでしょう。自信も深めたかな」と手応えを示した。

表彰式後、悔しさからすぐに銀メダルを首から外した秋元主将は「この負けをいい経験とは言いたくないが、次で日本一を取るために生かす」と話し、佐熊監督は「もっと攻撃のレパートリーを増やす」。冬のインカレ初制覇に向けて、早くも気持ちを切り替えていた。【小林忠】

〇…松本がドリブルで敵陣を何度も切り裂いたが、初優勝には届かなかった。「決定機を生かせなければ勝てない。自分を含めて質をもっと高めないと」。3-1で勝った準々決勝(9日)の日大戦で相手に背後から押されて利き足の左足首を負傷。その後は試合の日以外はボールすら蹴ることができなかった。「ここまで来たら気持ち」。準決勝、決勝と満身創痍(そうい)だったが、初優勝への強い気持ちが足を動かした。「この悔しさを忘れず、インカレに向けて全員でもっと強くなる」と話した。

〇…アルビレックス新潟U-18から進んだ阪南大MF小田奏(4年、村上市出)は先発出場した。後半10分に交代するまで、シンプルな球離れでビルドアップを組み立て、3度目Vに貢献した。「後半、チームは運動量が落ちて危ない場面もあったが、勝ち切れたのはうちの実力。優勝できてうれしい」と笑顔だった。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 新潟医福大、阪南大に1-2で敗れ全国初制覇は持ち越し「次で日本一取るために生かす」秋元主将