柏対東京V 前半、ゴールを決める東京V木村(右)(撮影・鈴木みどり)

<明治安田J1:柏2-3東京V>◇31日◇第29節◇三協フロンテア柏スタジアム

東京ヴェルディの大砲、FW木村勇大(23)が豪快なゴールで今季ゴール数を2桁の10点に乗せた。

1点をリードされた前半15分、FW山見大登のパスを足元で受けると、背後から体を当てにきた柏DF野田裕喜を持ち前のパワフルな体で逆にはじき倒し、素早い反転で右へ持ち出して右足シュート。ペナルティーエリア外から弾丸と化したボールはGK佐々木雅士のセーブも許さず、一瞬にしてゴールネットに突き刺さった。

アウェーで早々に先制点を許し、嫌なムードだったが、持ち前の右足で雰囲気を変えた。山見の2点目、MF翁長聖の3点目への布石となる、頼もしい一撃だった。

木村は「長い試合、FWで使ってもらいたんですけどなかなかゴールを決めることができなくて、前節(鹿島戦)は勝利しましたけど心の底から喜べていない自分がいて。自分のゴールでチームを勝たせるというところにはFWとしてこだわっていた。今日はもっと決めるチャンスはあったと思いますけど、チームを勝たせるゴールというのを1点ですけど、久しぶりに決められたのは良かったです」と安堵(あんど)した。

プロ4年目の京都からのレンタル選手。2年半過ごした京都でJ1リーグ無得点、昨季夏にレンタル移籍したJ2金沢でリーグ戦1得点を挙げただけ。プロ3年間で1得点だった男が、東京Vにやってきて大ブレーク。名将「JFK」こと城福浩監督のもと、眠っていたポテンシャル、ストライカーとしての技量に磨きがかかった。

ラグビー選手のような屈強なフィジカルが持ち味。大食漢で「いくらでも食べられる」と笑う。太らないようシーズン中は食事制限し、練習から攻守両面でしっかり走り込み、不動の1トップの地位を確立。得点はできなくても、周囲のために体を張って献身的にプレーし続けた結果、この日のゴールにつながった。

得点場面については「どんな形でもシュートというのは試合の前から考えていました。半身で前を向いた瞬間に相手が寄せてきていないのが分かったので、思い切って振り抜いたら、いいところに飛びました」と自分らしさ満点の強烈な一撃に目を細めた。

6月15日の第18節・広島戦でゴールして以来、リーグ戦11試合ぶり、2カ月以上もノーゴールと苦しんだ。「9得点で止まってしまっていて、そこはあんまり自分は意識しないと自分で思っていましたし、周りにも言っていましたけど、正直心の中では引っかかっていました。節目のゴールだったと思いますし、チームも勝利できたので良かったです」

台風が日本列島を縦断する中、あいにくの雨だった。その中でも懸命に声をからして応援してくれたファンやサポーターに向けても感謝。「アウェーまでこれだけ多くの方が駆けつけてくれましたし、そういうファン・サポーターに勝利を届けられて良かったです」。

東京Vは2連勝で勝ち点を41に伸ばし、暫定ながら7位に浮上。「JFK」に鍛え上げられた男たちが成長曲線を描き続けている。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【東京V】木村勇大、弾丸ミドルで10点目「振り抜いたらいいところに」プロ4年目の大ブレーク