レアル・ソシエダード久保建英(ロイター)

<スペインリーグ:エスパニョール0-1Rソシエダード>◇第2節◇24日◇ステージ・フロント・スタジアム

【バルセロナ24日(日本時間25日)高橋智行通信員】来月のワールドカップ(W杯)北中米アジア最終予選(5日・中国戦、10日バーレーン戦)開幕を前に、レアル・ソシエダードの日本代表MF久保建英(23)が今季第1号ゴールを決めた。

アウェーのエスパニョール戦に後半22分から途中出場し、同35分に左足で鮮やかな決勝点。チームは1-0で今季初白星を挙げた。しかし先発落ちへの不満からか、仲間の祝福を振り払い物議を醸す「耳当てパフォーマンス」を披露。試合後は貝になった。

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快刀乱麻を断つ。久保が後半35分、右サイド奥でパスを受けるとドリブルで仕掛けた。2人が寄せてきた中、1人を鮮やかな股抜きで突破してエリア内に侵入。左足を一閃(いっせん)し、ゴール左上隅に美しい軌道でたたき込んだ。歓喜した仲間が祝福に抱きつくが、次々と両手で振り払った。その表情は硬く、憤りを感じさせるもの。1人になると両耳に手をかざし、後ろを向いてユニホームの上部をつかみ、スタンドに向けて「TAKE」の名前と14番をアピールした。

2月18日のマジョルカ戦以来となる待望のゴール。試合後は相手選手とユニホーム交換し、すぐロッカールームに下がった。仲間たちが相手選手と健闘をたたえ合い、サポーターのもとへとあいさつに向かうのと行動を別にした。

今季2試合目で初のベンチスタート。定位置の右FWにはパリ五輪優勝メンバーの主力で新加入のセルヒオ・ゴメスが入った。久保はベンチでスタッフ陣の隣に座り変わった様子はなかった。だが後半22分からの出場。待ち時間の経過とともに、フラストレーションの「砂時計」が心に重く沈殿したのかもしれない。

アルグアシル監督は久保について「開幕節のラヨ・バリェカノ戦で打撲を負った後に今日の試合を迎えていた。(打撲で)タケはあの時、交代を求めようとしていたし、今日の決定は戦術的なもの」と説明。その上で「ベンチもスタメンもどちらも重要だし、今日はそれが証明された。タケがうまく試合に入ってくれたおかげで、我々に決勝点をもたらせてくれた」とたたえた。

物議を醸すパフォーマンスについて問われると「多くの選手がゴールを祝うのは普通のことだ。彼は自分の名前とユニホームをカメラに見せていた。私はそう理解しているが、そのことは本人に聞いてほしい。おそらく特別な人を祝うか、特別な人にゴールをささげたかったんだと思う」。意思疎通の齟齬(そご)を感じさせるものだった。

渦中の久保は試合後、ミックスゾーンを無言で通り抜け、自らの行動について説明することはなかった。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 決勝点の久保建英、物議醸すゴールパフォについて説明せず 試合後も仲間たちとは別行動