<パリオリンピック(五輪):サッカー・イスラエル0-1日本>◇30日◇男子1次リーグD組◇ボジョワール競技場

【ナント(フランス)30日(日本時間31日)=佐藤成】東京の敵をパリで討つ。サッカー男子日本がエースFW細谷真大(22=柏)の決勝弾でイスラエルを1-0で下し、首位通過を決めた。「国防ブライアン」ことGK小久保玲央ブライアン(23=シントトロイデン)が好セーブを連発した。現行制になった80年モスクワ大会以降、3戦全勝無失点突破は過去3チームでメダル確率は100%。2日の準々決勝は、21東京五輪準決勝で負けたD組2位のスペインと激突する。

   ◇   ◇   ◇

GK小久保の存在感があらゆる場所で際立っている。試合前、スペインがD組2位となり、準々決勝の対戦が濃厚になると、選手のグループラインにいち早くその事実を報告した。

東京五輪の借りを返す絶好の舞台。同世代も2年前の親善試合で1-2で敗れており、燃えたのかと思いきや「言いたくないですけど、一番やりたくない相手だった。全然やりたくないです」と試合後の取材エリアでぶっちゃけて笑った。

もちろんピッチ内の安定感はピカイチだった。前半10分前後のピンチを立て続けにセーブし、チームに勢いを与えた。0-0の後半35分すぎにも味方のミスからのシュートを横っ跳びで2本連続でストップし、追加タイムに細谷の決勝点を呼び込んだ。「スピードが持ち味なので、反射神経が生かせた。3試合しっかり集中して挑めている」と手応え。大岩剛監督(52)からも「言うことないでしょう。彼に支えられている」と手放しで称賛された。

「動」のGKだ。派手なビッグセーブや飛び出し、感情をストレートに表現できるキャラクターもピッチに映える。得点場面ではアシストのMF佐藤を祝福するため、相手ゴール前まで駆けた。「ナントはすごく暑くてちょっと大変でしたけど、ああやって喜びたいので」とにやり。結果が出ずに苦しむ仲間のためのダッシュだった。

佐藤の祝福に気をとられて、得点者を勘違いするのもこの男らしい。柏の下部組織時代から共闘するエース細谷が決めたが「真大、決めてました? あ、三戸(舜介)ちゃんじゃないですか? 決めたのは真大ですか。あ、まじすか。ごめんなさい。あまりそこのところ見えてない」と、取材エリアまで小久保劇場だ。

先発メンバーを前節から6人入れ替えての勝利。最高の流れでスペインとの雪辱戦を迎える。「良い波に乗れている。剛さんも『自分たちなら勝てるよ』と言っていたので、そう思っています」。頼もしい守護神に支えられ、勢いを増す日本が、東京の借りをパリで返す。

◆小久保玲央(こくぼ・れお)ブライアン 2003年(平15)1月23日生まれ、千葉県出身。ナイジェリア出身の父と日本人の母を持つ。柏の下部組織で育ち、18年冬にカタールで行われたアルガス杯での活躍が認められ、19年に18歳でベンフィカに加入した。4~5月のパリ五輪アジア最終予選を兼ねたU-23アジア杯では出場5試合中4試合で無失点。決勝で試合終了間際にPKをストップした。193センチ。89キロ。

◆前回のペイン戦 U-21日本代表として、22年11月18日、同スペイン代表とスペインのセビリアで国際親善試合を行い、0-2で敗れた。MF藤田やFW斉藤ら現在のパリ五輪代表が先発。前半は0-0で折り返したが、後半に同じくパリ五輪に出場中のMFトゥリエンテスにゴールを許すなど2失点を喫した。GK小久保はベンチ入りしたが出場機会はなかった。当時の大岩監督は「スペインの質の高さを全員が感じたと思う」と話していた。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【五輪代表】好セーブ連発「動」の小久保玲央ブライアン 相手ゴール前まで駆け祝福も得点者勘違い