24日、C大阪対ドルトムント 後半、ゴールを決めるC大阪阪田(撮影・上田博志)

セレッソ大阪の入団2年目、MF阪田澪哉(20)が救世主に名乗りを上げた。

24日に開催されたドルトムントとの国際親善試合。昨季の欧州チャンピオンズリーグ準優勝でドイツ1部の強豪に、左足のスーパーミドル弾を決めた。

MF田中のパスを受け、得意のドリブルからゴール右前方へ進入。相手4人に囲まれながら切り返し、利き足ではない左足でニアサイドを打ち抜いた。

「カットインして、ニアを狙ったが、あんないいコースに飛ぶとは思っていなかったのでびっくり。自分のゴールでチームも勢いづいたと思う」

3点を追う後半開始から右サイドバック(SB)で出場。MF柴山のゴールに続き、阪田の左足で1点差に詰め寄った。2-3で敗れたが、会場は沸いた。

救世主の表現は、大げさではない。リーグ初優勝を掲げたクラブ設立30周年の今季、C大阪は残り14試合となり、首位FC町田ゼルビアとは勝ち点12差の6位にいる。逆転優勝するには現状の決定力、得点力ではあまりにも弱い。

24試合でチーム総得点32は、20チーム中で10番目。16ゴールで得点王争いトップのFWレオ・セアラ、7アシストでトップのMFルーカス・フェルナンデスに続く選手がいない。

阪田の堂々としたプレーは、21年限りで引退したJ1通算最多191ゴールを誇る大久保嘉人さんに通じるものがある。シュートセンスはもちろん、敵がいてもドリブルを仕掛け、時に強引に抜いていく。ちゅうちょなく両足を振り抜き、頭からも飛び込む。シュートミスしても、見る側は納得できる。

京都・東山の2、3年時に全国高校選手権に連続出場した。2年時は松木玖生の青森山田に準々決勝で、3年時は決勝で岡山学芸館に敗れた。その決勝で放ったクロスバーに直撃したヘディングシュートは、決定力を追求する20歳の現在の動機付けになっている。

ゴール右斜め前のプレーエリアは、阪田を誰も止められないという意味で、高校時代から「阪田ゾーン」と呼ばれてきた。ドルトムント戦に見舞った1発は、その十八番からだった。

「(試合後に)藤本康太コーチから『久しぶりに、阪田ゾーンが出たな』と言われた。阪田ゾーンは、自分で名付けたわけではないので、ちょっと恥ずかしい。そういう場面を、もっと作れるようにやっていきたい」

阪田は今季、天皇杯で1得点したものの、リーグ戦の出場はここまで1試合。現状のチーム成績に関与していない。だからこそ、期待がふくらむ。

23年7月に、C大阪からサンフレッチェ広島へ完全移籍したFW加藤陸次樹、24年1月に町田へ完全移籍したパリ・オリンピック(五輪)代表のFW藤尾翔太と、ストライカーの流失が続くC大阪は、タイプは違うものの阪田を一人前に育てたい。

中断明けの試合から、先発メンバーの見直しを視野に入れる小菊昭雄監督(49)は、阪田のドルトムント戦での1発に「一番の大きな収穫」と明言している。

仮に抜てきされれば、右SBを兼務する阪田は、本来の3トップの右に置いてルーカスを左に回す起用法がある。レオ・セアラと2トップを組んだり、スーパーサブで途中から投入してもいい。

クラブ関係者によると、今季前半戦の出番がほぼなかった阪田へは、他クラブから獲得の打診が多かったという。苦しい時間を耐えてきた20歳にとって、今回のスーパーゴールがサッカー人生を一転させるかもしれない。

◆阪田澪哉(さかた・れいや)2004年(平16)5月11日、京都市生まれ。東山2年時の21年度全国高校選手権で8強、3年時は準優勝。23年C大阪入りし、同年4月5日ルヴァン杯京都戦でプロデビュー、6月7日天皇杯2回戦ハリマ戦でプロ初ゴール。J1通算5試合無得点。背番号17。170センチ、64キロ。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【C大阪】阪田澪哉、救世主になれるか ドルトムント戦のスーパーゴールでサッカー人生一転の可能性