日本対パラグアイ パラグアイに大勝し藤尾(左)ら選手たちを笑顔で迎える大岩監督(左から2人目)(撮影・垰建太)

<パリオリンピック(五輪)サッカー男子:日本5-0パラグアイ>◇24日(日本時間25日)◇1次リーグD組◇第1戦◇ボルドー競技場

【ボルドー(フランス)24日(日本時間25日)=佐藤成、木下淳】パリ五輪サッカー男子が先行開幕し、日本が1次リーグ初戦でパラグアイに5-0で完勝した。MF三戸舜介(21=スパルタ)の2発など、日本の五輪最多となる5得点で南米王者を圧倒。68年メキシコ大会以来56年ぶりメダル獲得へ好発進した。16年ぶりに行使できなかった24歳以上のオーバーエージ(OA)枠に加え、世代の久保建英、鈴木唯人、鈴木彩艶も招集できない中、日本の進化を示した。27日(日本時間28日)のマリ戦に勝てば、OA起用なしで23歳以下だけのチームでは初の準々決勝進出が決まる。

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強い。日本の進歩が際立つゴールラッシュだった。出場16チームで唯一のOAゼロで挑んだ若きサムライたちが、南米予選でブラジルを退けて首位通過、かつOA2人を招集したした難敵パラグアイを粉砕した。

前半19分に三戸の得点で先制。同25分に相手が退場し、数的優位に立った一方でMF平河が負傷交代するアクシデントに見舞われながら、後半4得点。日本の五輪史上初となる5得点にも、大岩剛監督(52)は「相手が10人だったことを認識した上で評価したい」と表情を崩さない。歴史的大勝でも「得失点差は理想的」と、あくまで先を見た。

チーム発足時からの積み上げが大舞台で結実した。2年半で招集した選手数は87人に及ぶ中、攻守にアグレッシブという明確なプレー原則を共有し、誰が出てもブレない、波のないチームを構築した。強い一体感でアジア王者になったメンバーに、クラブ事情で最終予選に出られなかった三戸が加わって2ゴール。斉藤が3得点に絡んだ。ともに主力だったが、アジアで1度は完成を見たグループに入っても違和感なし。大岩流の土壌が育まれていた。

困難続きだった。東京五輪の1年延期で準備期間は短縮された。制限下のコロナ禍で始動し、アジア大会や五輪アジア予選の時期変更にも振り回された。五輪ですら、クラブに派遣義務のない国際試合期間外。海外組の招集は至難で、A代表主将のMF遠藤らOA枠は当然、久保、鈴木彩ら23歳以下でも選出を諦めた。最終予選で主力だった松木も海外移籍で断念。それでも「仕方ない」と指揮官は割り切り、現状こそ「ベスト」であると位置付けた。

フランス入り後も想定外はつきまとう。初戦2日前にDF半田が負傷離脱したが、動揺しないチーム力を結果で見せつけた。20年前のアテネ大会初戦で大久保嘉人やOA小野伸二らを擁しても3-4で敗れたパラグアイに、リベンジした。

OAが導入された96年以降に23歳以下だけで戦ったアトランタ大会は、ブラジルを破る「マイアミの奇跡」を起こすも1次リーグ敗退。08年北京大会は3連敗で散った。全員U-23で決勝トーナメント進出を決めれば初の快挙で、大きく前進した。「(OA不在は)逆に我々の強み」と言い切る大岩監督の胆力だった。中2日で迎えるマリに勝てば8強入り。3月に1-3で敗れた借りを返した時、日本サッカーの五輪史に新たな1ページが刻まれる。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【五輪代表】南米王者圧倒で56年ぶりメダルへ好発進 次戦勝利なら23歳以下だけで初8強入り