キューウェル監督解任について説明する横浜の中山昭宏社長

横浜F・マリノスの中山昭宏社長が16日、ハリー・キューウェル監督(45)の電撃解任について説明した。強化責任者という立場もあって横浜市内でメディアの囲み取材に応じた。

「クラブのフィロソフィーとするアタッキングフットボールをやりきれていない」ことが理由だと説明した。前日に30分ほどの話し合いの場をもち、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準優勝への感謝を伝えた上で解任を通告した。感情的になることなく、冷静に応じていたという。

わずか半年ほどで任期が終了。ここ最近の成績から決めたものではなく、もっと早い段階から注視していたという。例えば、ACLと並行して戦っていたJリーグ。そこで勝利した試合においても、クラブが求める内容ではなかったという。

シティーグループの推薦もあり、キューウェル監督に白羽の矢を立てた。そしてクラブが掲げるフットボール・フィロソフィー「アタッキングフットボール」についての理念を説明し、3つの項目を提示した。

(1)アタッキングフットボールの理解と継承

(2)アタッキングフットボールに独自のエッセンスを加え進化させる

(3)高みを目指して勝つ集団に仕立てる

だが「ピッチ上で我々の選手がイキイキとアタッキングフットボールをやりきれていない」とクラブ側には映っていた。「課題に対して整理し、修正を取り入れていくことが必要」。

4連敗という泥沼の状態から14日の鹿島戦では4-1という快勝を披露したが、その結果よりも、クラブが金科玉条とする「アタッキングフットボール」は譲れなかった。

キューウェル監督と言えば、レフェリーの判定に次々と食ってかかるなど感情的な行動が目立った。モラル面が解任に影響したのでは、といぶかるところだが、中山社長の注意を受け入れ、その後は問題はなかったとした。また、感情的な性格ゆえに選手との溝が生まれていたのでは? という憶測も一蹴した。

あくまで「フットボール・フィロソフィー」という部分での不足から、両者は袂を分かつこととなったという。

今後はジョン・ハッチンソン暫定監督のもとで、残り15試合となっているリーグ後半戦の巻き返しに挑む。現在は首位町田から勝ち点20差の勝ち点29で12位と低迷。それでも中山社長は「まだACL(3位以上)を狙いたいし、そこを取りに行く」と力強く断言した。

また、9月からは2024-25年のACLも始まる(昨季23年シーズンのリーグ2位による出場権獲得)。強化責任者として「まずは今のジョン(ハッチンソン暫定監督)を全力でバックアップしていく」と誓い、夏の補強については「ジョンと話し合いながら可及的に進めていく」と含みを持たせた。

シティー・フットボール・グループのサポートを受けながら、強豪のプライドを懸けた戦いに向かう。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【横浜】中山社長、キューウェル解任理由は金科玉条のクラブフィロソフィー「やりきれていない」