【広島】黒田博樹アドバイザー単独インタ(上)新井改革の根底に「選手が頑張れる環境づくり」
新井改革を陰で支える。広島は交流戦を10勝8敗で勝ち越し、2位阪神に2・5ゲーム差をつけてセ・リーグ首位に立つ。躍進を支えるのは、リーグトップのチーム防御率2・18を誇る投手陣だろう。22年オフに就任時した新井監督とともに投手陣の再建をサポートしてきた黒田博樹球団アドバイザー(49)に、新井体制2年目について聞いた。【取材・構成=前原淳】
-交流戦を終え、広島投手陣がチームを支えている
黒田氏 本当に素晴らしいと思います。個々が結果を出していますし、1軍だけでなく、2軍で待機している投手たちも頑張っています。
-アドバイザーとしてどのように新井監督のチームづくりをサポートされているのか
黒田氏 特に自分は何もしていません。監督の目が届かないところもありますし、監督は野手出身で投手心理などを理解するのが難しいところもあると言っていたので、聞かれたことには自分なりの意見を答えられるようにしています。
-新井監督と共有していることは
黒田氏 新井監督には「選手ファースト」と言いますか、「選手が頑張れる環境をつくってあげたい」というものが根底にあります。コーチ陣を含めたスタッフが動きやすい環境になっていると思います。コーチとアナリスト、そして編成部が同じ方向を向いて進んで行けるように、微力なら力になれればと思っています。今、カープでは1軍から3軍までの投手コーチとアナリスト、編成担当が頻繁に情報を共有していることも投手陣の安定を引き出している要因の1つかもしれません。
-データに基づいたアプローチは、ご自身も米大リーグ時代に経験がある
黒田氏 現在の野球ではデータが発達していますし、重視されているところがあります。やはり経験則から精神面は伝えられても、技術面は人それぞれ違います。データや映像を見ながら、いろんな角度から意見を出し合っていければいいんじゃないかと思います。最終的に選択するのは選手ですが、引き出しをたくさん与えるのはコーチやアナリストの役割が大きいと思います。
-情報が多い時代だけに、選手には取捨選択する力や自分を客観視することが求められる
黒田氏 全部を全部取り入れようとすると情報過多になって、投球に集中できなくなる選手もいると思います。自分のプレースタイル、投球スタイルに何が必要で何が必要じゃないかを選択するのは、選手に求められる1つの能力になってくるかもしれません。
-昨オフにフォーム変更を提案した塹江投手が1軍の中継ぎで貴重な存在に
黒田氏 彼が覚悟を決めて今シーズンに臨んだ結果だと思います。こちらが何かをしたということではありません。マウンドに立ち、結果を残したのは彼自身。すべては彼の頑張りです。現在は昔と違って、1球1球の細かいデータを出せる時代なので、数字を見ながら判断できることでより納得して進んでいけるのかもしれません。
-塹江投手の成長もあり、中継ぎ陣の厚みが増した
黒田氏 他球団にもすごいピッチングスタッフのチームがありますが、カープも負けていないと思います。2軍を含めても引けを取らないスタッフがそろっていると思います。
■セ・リーグ投手陣防御率
広島 2・18
阪神 2・22
巨人 2・43
DeNA 3・18
ヤクルト 3・33
中日 2・76
■年度別広島チーム防御率
20年 4・06
21年 3・81
22年 3・54
23年 3・20
24年 2・18※61試合消化時点