2月、報道陣に対応する黒田球団アドバイザー

新井改革を陰で支える。広島は交流戦を10勝8敗で勝ち越し、2位阪神に2・5ゲーム差をつけてセ・リーグ首位に立つ。躍進を支えるのは、リーグトップのチーム防御率2・18を誇る投手陣だろう。22年オフに就任時した新井監督とともに投手陣の再建をサポートしてきた黒田博樹球団アドバイザー(49)に、新井体制2年目について聞いた。【取材・構成=前原淳】

-今季1軍先発が平均投球回6・13を記録。6回以上は阪神と2球団のみ

黒田氏 新井監督とは先発投手の球数に関して、いろいろな話はしました。現在、日本球界でも「100球」が1つの目安のように言われていますが、米国では登板間隔は中4日もしくは中5日ですが、日本は基本的に中6日。それにシーズンの試合数、連戦が続く日程にも違いがあります。シーズン登板数も、日本では25試合前後(昨季セパ両リーグ最多先発登板は広島九里の26試合)ですが、米国は30試合を超える(黒田氏はヤンキース時代の12年に33試合)。米国のやり方をそのまま日本にあてはめてしまうと、中継ぎの負担があまりにも重くなってきているような気がします。

-広島に復帰する前年の14年まで米国5年平均200投球回以上を記録した

黒田氏 基本的に中4日、中5日でしたが、次回登板が中5日以上空く登板では球数をいつもより多めに設定されていました。そういった幅を持たせることが日本でも必要ではないかと思います。

-中継ぎの存在価値が変わってきている

黒田氏 もっと中継ぎ投手が評価されるべき時代になってきているのではないかと思います。チームのバランスを考えれば、先発投手も長い回を投げていく責任も出てくるでしょう。そのためにもキャンプから準備していかないといけませんが、カープの先発投手はみんな意識を持ってくれているように思います。(大瀬良)大地、(九里)亜蓮をはじめ、すべての投手がそういう気持ちでマウンドに上がっているのがこちらにも伝わります。

-床田投手が投球回へのこだわりを口にし、ここまで平均投球回は7回以上。新井監督も各先発の継投のタイミングを100球ではなく、試合展開や前後の登板を見ながらマネジメントしているように映る

黒田氏 監督は選手とのコミュニケーションがしっかり取れているので、ゲームの中で球数の幅を持たせられるのだと思います。

-中継ぎの層を厚くすることも大事になる

黒田氏 監督は中継ぎの負担を考えて、日程と照らし合わせながら休みを与えることも常に模索しているようです。負担が増した中継ぎにもそういった配慮をしなければいけない時代になってきているのかなと感じます。

-「新井選手」を誰よりも知る黒田アドバイザーから見た「新井監督」は

黒田氏 すべてにおいて芯がある。言動にもブレがない。「選手ファースト」と言いましたが、コーチ陣にもいろんなことを取り入れやすい空気をつくり「最後は自分が責任をとる」というスタンスなので、コーチもやりやすいと思います。

-新井監督就任から2年、チーム内の変化を感じているか

黒田氏 コーチをはじめ、編成やアナリスト、スコアラーらスタッフもみんながチームのためにと動いているなと感じます。立場は違いますけど、お互いがリスペクトし合いながら選手のために動いているなと思います。

-残りのシーズンだけでなく、新井改革は続いていく

黒田氏 同じカープのユニホームを袖に通した選手たちですし、一OBとしても頑張ってほしい。ただ、ピッチャーなら、最後はマウンドで勝ち抜いていく人が成功を収める世界。そのためにどうするのか。残された時間は平等ではない。限りがあるので、1日1日を大事に過ごしてもらいたい。新井監督のマインドが浸透し、チームとしていい方向に進んでいっているように思います。

■24年セ・リーグ先発平均投球回

広島 6・13

阪神 6・19

巨人 5・88

DeNA 5・80

ヤクルト 5・60

中日 5・69

■黒田博樹アドバイザーの米大リーグ時代のシーズン別登板数と投球回

08年 ドジャース 31試合 183回

09年 ドジャース 21試合 117回

10年 ドジャース 31試合 196回

11年 ドジャース 32試合 202回

12年 ヤンキース 33試合 219回

13年 ヤンキース 32試合 201回

14年 ヤンキース 32試合 199回

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【広島】黒田博樹アドバイザー単独インタ(下)先発の球数に幅を「中継ぎ負担あまりにも重く…」