【大学選手権】青学大2年連続6度目V導いた佐々木泰の「主将力」エリート軍団も泥くさく声出し
<全日本大学野球選手権:青学大2-1早大>◇16日◇決勝◇神宮
青学大(東都)が早大(東京6大学)に競り勝ち、11年の東洋大以来、史上6校目、8度目の連覇を果たした。1点を追う5回、同点に追い付きなおも2死三塁で藤原夏暉内野手(3年=大阪桐蔭)の中前適時打で勝ち越した。再三のピンチにも、4回途中からバデルナ・フェルガス投手(3年=日本航空)、鈴木泰成投手(2年=東海大菅生)とつなぎ、リードを守り切った。
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主将はゆっくりと歓喜の輪に加わった。佐々木泰主将(4年=県岐阜商)は「苦しかったなぁという思いがあって、込み上げるものがありました。本当にうれしかった」と頂点に立った喜びをかみしめた。
決勝では3打数無安打も、準決勝までに2本塁打を含む5安打8打点で大会MVPを獲得。そして、何よりも佐々木には優勝に導いた主将力があった。
春秋リーグ戦、全日本、神宮大会のシーズン「4冠」への重責が主将を突き動かす。3月のオープン戦でふがいない試合が続き、徹底的に話し合った。「野球に取り組む姿勢から見直し、アップから全員で声を出し盛り上げた」と、練習から一瞬のスキを見せない取り組みをチームに課した。
リーグ戦中には清水隆太郎学生コーチ(4年=城東)が寮のホワイトボードに
・全力疾走
・バックアップの声
・アンサーの声
・メニュー間の切り替えの早さ
・1人でも集団からズレた人がいるとチームは崩れるから全員戦力であることを自覚する
・うまくいかなかった後に、チームに悪影響を与えない振る舞い方をする
・集団として強いチーム→野球だけじゃなく私生活も
など26項目を記した。リーグ戦、3連敗の後は、チームのグループラインにも送り、全員で共有。意識を高めた。佐々木は「足元から見つめることで腹をくくれた。どこか受け身になっていた。ここまできたらやるしかない。昨年の神宮大会決勝で負けた悔しさが、意地となって勝ちきれる力に変わった」と振り返った。
「全員戦力」だ。4番の西川史礁外野手(4年=龍谷大平安)は8回無死一塁。遊ゴロも一塁にヘッドスライディングで間一髪セーフ。西川は「何としても塁に出たかった」と目に涙をためた。「つい声が出ちゃって(笑い)」と、ベンチからは安藤寧則監督(47)の大きな声も響く。先頭に立つ佐々木のように。全員の攻めの気持ちが優勝を引き寄せた。
高校時代、全国で名をはせた選手たちが集まるエリート軍団だが、実は圧倒的な練習量と声を張り上げ泥くさく戦った。連覇を達成し「4冠」を目指し、秋に向かう。【保坂淑子】