米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平は今年も投打で新たな歴史を刻んだ。日本ハム時代の恩師で、現在は野球日本代表「侍ジャパン」の監督を務める栗山英樹氏は「(大谷が)2人分いるということを証明したのは間違いない」。来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、再び同じユニホームを着るまな弟子に目を細める。 投手で15勝、打者で34本塁打。メジャー5年目で初めて規定投球回に到達し、規定打席とダブルで規定をクリアした。ワールドシリーズ(WS)が始まった1903年以降で、大リーグ初の快挙だった。 若き日の大谷を手塩にかけて育てた。だからこそ、一年を通して出場した証しである投打での規定到達に高い価値を感じる。2年連続のア・リーグ最優秀選手(MVP)受賞こそ逃したが「昨年より野球界に与える影響は大きい。100年たっても語られるようなシーズンだった」と強調する。 昨季より六つ勝ち星を増やすなど、投手として大きく躍進した。「これだけ打たれた試合のイメージがない年は初めてではないか」と栗山氏。日本ハム時代を含め、疲労がたまった時期に打ち込まれたこともあったというが、今年はそんな印象を抱かなかった。 栗山氏は、二刀流に挑戦させてきた最大の理由を「チームを優勝させるため」と語る。今季の投手成績向上は単なる成長だけではなく、「何とかチームとして勝ちたいという原点に立ち返った。一番良い方向に向かった」と捉える。 個人では既にいくつもの伝説をつくった。栗山氏が来季以降に期待するのが、チームをWS制覇に導く姿。「彼が頂点に立つ時の二刀流がどういう形なのか、俺は見たい」。出会った時から誰よりも可能性を感じ、「あいつならそれができるはず」と信じる。見据えるものはまだ先にある。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに応じ、エンゼルスの大谷翔平について語る野球日本代表「侍ジャパン」監督の栗山英樹氏=11月26日、北海道栗山町 〔写真説明〕アスレチックス戦の8回を投げ切り、拳を握りしめるエンゼルスの大谷翔平。シーズン15勝目を挙げた=9月29日、アナハイム