第99回東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日)で駒大が出雲駅伝、全日本大学駅伝を含む大学三大駅伝3冠を狙う。史上5校目の快挙に向け、大八木弘明監督とともに選手たちを指導するのが、ヘッドコーチでマラソン元日本記録保持者の藤田敦史さん(46)だ。駒大4年生だった1999年に3冠を懸けて挑んだ箱根は2位。当時の自分たちと今の教え子を重ね合わせながら、悲願へ導こうとしている。 藤田さんが入学した95年、同郷(福島県)の先輩でもある大八木監督がコーチとして着任。「大八木1期生」が4年生になると、3冠達成で「胴上げして終わるんだという総意があった」。98年の出雲、全日本を制し、年明けの箱根に臨んだ。 4区で藤田さんが区間賞を獲得し、チームは往路優勝。だが、復路で順大に逆転を許し、約5分差をつけられた。準エース格の選手が故障し、区間配置を組み替えざるを得なかったことが敗因の一つだったという。 今季の駒大は、出雲も全日本も大会新記録で制覇。世界選手権男子1万メートル代表の田沢廉が不動のエースとして君臨し、他の選手層も厚い。主力の大きなけがもなく、藤田さんは「私たちの頃よりも、はるかに強いチームができた」と胸を張る。 選手間で自然と3冠を目指す機運が生まれた今季のチーム。大八木監督への恩返しの思いも当時の自身らと共通するといい、「私たちが達成できなかった3冠に、今の学生たちがチャレンジしようとしている。時代をつくっていく箱根駅伝にさせてあげたい」。頼もしい後輩たちの熱意に、指導者として応える覚悟だ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕箱根駅伝で3冠を狙う駒大の藤田敦史ヘッドコーチ(駒大提供) 〔写真説明〕1999年の箱根駅伝4区でトップを走る駒大の藤田敦史選手(現ヘッドコーチ)=同年1月2日、神奈川・酒匂橋付近