日本伝統の「美しい体操」を継承する17歳がいる。栃木・作新学院高3年の谷田雅治は、2024年パリ五輪での活躍が期待されるホープだ。「五輪の団体と個人で金メダルを取りたい」と曇りのない目で宣言した。 元体操選手の両親を持ち、競技が盛んな福井県鯖江市出身。中学時代に母の故郷がある栃木に移った。爪先までピンと伸びた教科書のような演技姿勢が目を引く。日本体操協会の水鳥寿思男子強化本部長は、世界トップに長く君臨して今年引退した内村航平さんを引き合いに出し、「内村を継ぐような、Eスコア(出来栄え点)を狙っていける選手」と絶賛する。 今年は個人総合で「高校3冠」を果たし、9日の世界ジュニア選手権(来年3~4月、トルコ)日本代表選考会でも1位になった。その2日後の全日本団体選手権では、鉄棒でダイナミックな手放し技の「カッシーナ」を初めて実戦で披露。惜しくもバーをつかみ損ねて落下したものの、「試合で使えたのはいい経験」と表情は明るかった。技の難度は、これから本格的に上げていく。 来年は世界ジュニアに出場するため、規定により世界選手権などシニアの国際体操連盟(FIG)主催大会には出られない。シニアの本格デビューはパリ五輪がある24年。「期待の新星として出たい」と虎視眈々(たんたん)。「世界ジュニアでしっかり勝ちに行き、将来の世界選手権や五輪で動じない力をつけていきたい」とイメージを膨らませている。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕体操の全日本団体選手権、男子で鉄棒の演技をする作新学院高の谷田雅治=11日、サンドーム福井