主将としてチームをまとめてきた吉田は、目を真っ赤にしていた。「悔しい。あしたもみんなで練習したかったし、少しでも長くこのチームで一緒にやりたかった」 高さのあるクロアチアに競り合いで負けても、粘り強く対応して最少失点でしのいだ。前半終了間際には前田の先制点をアシスト。しかしPK戦では左下を狙い、止められた。昨夏の東京五輪のニュージーランド戦で蹴ったコースと同じ。「映像がそれしかない。研究されていたかも」と悔やんだ。 4年前、ベルギーとぶつかった決勝トーナメント1回戦。最後のプレーで痛恨のカウンターを食らい、決勝点を許した。大会後、約8年も主将を務めてきた長谷部からリーダーの座を継承。ここから8強入りを目指す旅が始まった。アジア最終予選では序盤で苦戦。敗退した場合は代表から退く覚悟を示し、森保監督と選手の間に立ってチームを一つにしてきた。 またも、壁は越えられなかった。それでも「引いて守り切るようなサッカーをしたわけじゃない。こういう形が強豪相手にも出していけるのは今後の明るい材料」。確かな足跡は残した。 DFが世界で戦うには個の力が必要だとし、「冨安とか板倉とか、そういうのをやっていかないと。僕はそこには…」と消極的な発言も。今後の代表活動について問われると、「ゆっくり考えます」。持てる力は出し切った。 (アルワクラ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕PK戦の末クロアチアに敗れ、うつむく吉田(右)。左は前田=5日、アルワクラ