長年チームをけん引してきた33歳にとって、あまりにもつらい結末だった。1―1の後半25分、セネガルのFK。エクアドルのバレンシアはとっさに太ももを上げてクリアを試みたが、不運にもボールは相手の元へ。決勝のゴールを決められ、思わず両手で頭を抱えた。 チームの全3得点を挙げた8年前のブラジル大会に続き、頼れる主将は今大会も決定力を発揮。カタールとの開幕戦では2ゴールを挙げ、快勝の立役者に。オランダとの第2戦でも少ないチャンスを物にして同点ゴールを決めたが、この日は遠目からFKを直接狙った場面以外にシュートすら打てず。不運な形とはいえ、失点にも絡んだ。 「申し訳ない」。試合後、涙をこらえながら言葉を絞り出した。「このような結末は想像していなかった。エクアドルの全ての人々に謝りたい」。そう言って立ち去るエースの背中に、母国の記者たちは「われわれは、あなたの味方だ」と声を掛けた。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕セネガルに敗れ、うずくまるエクアドルのバレンシア=29日、ドーハ(EPA時事)