9月の秋場所千秋楽。1差を追って臨んだ玉鷲との直接対決に敗れ、優勝決定戦に持ち込めなかった高安は「何度でも挑戦する。整理はついている」と潔かった。その誓いを果たすため、持ち前の力強い相撲を貫いている。 錦富士との2敗同士の対戦。迷いはなかった。かち上げから先手を取り、攻め手を緩めない。必死に回り込む相手に対し、突き押しで前進。もつれた土俵際で逆転は許さず、「とてもいい相撲。我慢してついていけた」。手応えは十分だった。 八角理事長(元横綱北勝海)は「積極的。慌てるかと思ったが、土俵際で勝っているからこそ、冷静にいけた」と評価。錦富士とは秋場所前に出稽古で手合わせしており、その時の感覚も勝負どころで生かされたのだろう。 王鵬とともに1差でトップの豊昇龍を追う。3月の春場所でも優勝決定戦で若隆景に敗れた元大関にとって、あと一歩で届かない初賜杯。「いい相撲を取れている」との実感がある中、一年納めの九州場所で念願を遂げられるか。勝負のときを迎える。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕高安(奥)は錦富士を押し倒しで下す=23日、福岡国際センター