試合終了の笛が鳴ると、フランスの選手たちはホッとした表情を浮かべた。先制を許した後、4得点を挙げたものの、名将デシャン監督は「立ち上がりはひやひやした」と本音を漏らした。 連覇への重圧からか、動きに硬さが見え、前半9分には失点を喫した。それでもスイッチが入った王者はしっかりと強さを示した。ラビオ、ジルーが立て続けに得点して前半のうちに逆転。後半はエースのエムバペにもゴールが生まれた。指揮官は「後半はより試合をコントロールできた。たくさんチャンスをつくり、もっと得点できた」。本来の動きを取り戻した戦いぶりには納得した。 前回大会優勝の立役者となった中盤の要、ポグバとカンテをけがで欠き、代表メンバー発表後もDFキンペンベ、FWエンクンクの不参加が決定。さらに現地入り後に今年のバロンドールを受賞したベンゼマも離脱した。そんな状況で中盤はラビオとチュアメニが支え、ジルーが2得点と代役が活躍。選手層の厚さで不安を吹き飛ばした。 フランスが1998年に自国開催大会を制して以降、欧州勢のW杯優勝国は次回大会で1次リーグ敗退に終わっている。その4チームは全て初戦で勝ち点3を挙げられなかった。ジルーは「状況を好転できたのは自信になる」。前回同様にオーストラリアを初戦で退け、ジンクスを破った王者が、今後へ弾みをつけた。 (アルワクラ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕前半、同点のゴールを決めるフランスのラビオ(左手前)=22日、アルワクラ 〔写真説明〕後半、ゴールを決め、デンベレ(左)に祝福されるフランスのエムバペ=22日、アルワクラ 〔写真説明〕後半、自身2点目となるゴールを決めるフランスのジルー(左端)=22日、アルワクラ