20年近くにわたり、世界のサッカー界をけん引してきたメッシ。数々のタイトルを手にしてきたアルゼンチンのスーパースターは、まだ遂げていないW杯優勝を「夢」と表現する。悲願成就に向けた、前途多難な船出となった。 前半序盤にVAR検証でPKを獲得。蹴るのはもちろんメッシだ。冷静に沈めて、幸先良く先制した。しかし、その後は一方的に攻めながら、追加点を奪えない。ゴールネットを揺らしてもオフサイドの判定を受け、嫌な時間帯が続いた。 後半開始直後に一瞬の隙を突かれて追い付かれると、流れは一変。立て続けに勝ち越しを許した。主将のメッシは両手をたたいてチームを鼓舞。自ら直接狙ったFKは枠を外れ、試合終盤のヘディングシュートはGK正面で阻まれた。 メッシは史上最多に並ぶ5度目のW杯を「最後になるだろう」と覚悟する。初戦前日には「全ての瞬間を楽しみたい」と語っていたが、予期せぬ劣勢となり、焦るチームを救えなかった。 イタリアが持つ世界記録まであと一つと迫っていた国際Aマッチの連続無敗記録は、36で止まった。アルゼンチンがW杯初戦で敗れるのは32年ぶり。ただ、その1990年大会は準優勝している。ショックの大きい敗戦から立て直せるか。南米王者の真価が問われる。 (ルサイル時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕前半、先制のPKを決めるアルゼンチンのメッシ=22日、ルサイル(AFP時事) 〔写真説明〕後半、FKで直接ゴールを狙うも決まらず、悔しがるアルゼンチンのメッシ(左)=22日、ルサイル