【ドーハ時事】サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会では、20日の開幕後もカタールの移民労働者や性的少数者(LGBTQ)への人権侵害を巡る論争が渦巻いている。デンマークは試合で着用するユニホームに抗議の意味を込めた。 ユニホームの色は国旗と同じ赤、白の他、黒の計3種類。デンマーク協会のエンブレムは、それぞれの生地と同じ色で胸に配されて気付きにくい。サプライヤーの同国スポーツブランド、ヒュンメル社は「カタールとその人権の記録に対する抗議でもある。何千人もの命を奪った大会の最中に、われわれの存在を目立たせたくない」と意図を説明する。 英メディアでは、競技会場などW杯関連の工事で数千人の移民労働者が命を落としたと伝えられた。ヒュンメル社は黒いユニホームについて、「喪に服す色」と表現。「チームを全面的に支援しているが、大会への支援と混同してはいけない」と痛烈な声明を出した。 デンマークは「全ての人に人権を」と記された練習着の着用許可を国際連盟(FIFA)に求めたが、拒否された。また、イングランドなど複数の欧州チームとともに、主将が反差別などの思いを込めた「One Love」と書かれた虹色の腕章を巻く予定だったものの、FIFAが制裁を科すと通告したため断念した。 FIFAの規定では、用具に政治的なメッセージを記すことは認められていない。デンマークのユニホームには直接的な表現がなく、この規定に抵触しない。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕デンマークの赤いホーム用ユニホームを持つ同国代表のエリクセン=9月、デンマーク国内(AFP時事)