ウェールズにとっては64年ぶり2度目の大舞台。試合前に国歌が流れた際には、泣きながら熱唱するファンの姿がスクリーンに映し出された。 そんなサポーターの思いが重圧となったのか、選手たちは前半を通して消極的なプレーに終始した。米国にボールを支配され、36分には最終ラインの乱れを突かれて痛恨の失点。その後も自陣で耐えしのぐ展開が続き、ほとんどチャンスもなくハーフタイムを迎えた。 苦しい流れを変えたのは、後半開始から投入されたムーアだ。この長身FWの体を張ったボールキープを突破口として流れをつかむと、果敢に前線に駆け上がったラムジーのチャンスメークからベールがPKを獲得。これをベール自ら豪快に蹴り込み、ウェールズに歓喜をもたらした。 先制された後に追い付き、1―1で引き分けたのは1958年大会の初戦も同じ。当時のW杯は出場16チーム。ウェールズは準々決勝まで勝ち上がった。64年前の躍進再現は簡単ではないが、不可能とも言えない。ページ監督はイングランドと米国をB組の本命と認めつつ、「いくつかのサプライズは起こるはず。われわれは次戦に向けて準備するだけだ」と自信を口にした。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕後半、PKで同点とし喜ぶベール(手前中央)らウェールズの選手=21日、アルラヤン 〔写真説明〕後半、PKで同点ゴールを決め、喜ぶウェールズのベール(左)=21日、アルラヤン 〔写真説明〕後半、競り合うウェールズのベール(右)と米国のムサ=21日、アルラヤン