イングランドは19歳ベリンガムが、鮮烈なW杯デビューを飾った。前半35分、ショーが左サイドを駆け上がり、クロスを上げるタイミングでゴール前へ向かう。絶妙なヘディングに、相手GKは一歩も動けなかった。 イングランドの選手がW杯で決めたゴールとしては、1998年フランス大会で当時18歳だったマイケル・オーウェンに次ぐ史上2番目の若さ。この先制点がゴールラッシュの口火を切った。「勝つとプレッシャーがなくなる。少しは安心する」。並外れた瞬発力が魅力で、最前線への鋭い飛び出しは脅威であり続けた。 16歳の時にイングランド2部でデビューし、間もなくドイツ1部の強豪ドルトムントに移籍。今回のチームでは唯一、プレミアリーグ以外の所属だ。W杯で因縁の間柄にあるドイツを選んだのは、今回の代表からは漏れたが、17歳でドルトムントに加入し、急成長を遂げたジェイドン・サンチョ(現マンチェスター・ユナイテッド)の姿に感銘を受けたから。「自分の限界を試したい」。飽くなき向上心が自身を突き動かした。 この若さと才能。市場価格は2億200万ユーロ(約293億円)との推計もある。いやが上にも注目は集まるが、「次の試合に向けて準備を整える。新たな挑戦は始まっている」と先を見据える。今大会で一躍その名をとどろかせ、世界的スターへの階段を駆け上がるか。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕前半、ゴール前でボールをキープするイングランドのベリンガム(中央)=21日、ドーハ