憧れ続け、ようやくつかんだ大関の地位にもう一度戻るため、絶対に必要なのは10個の白星。御嶽海は9日目にして5敗目を喫し、早くも後がなくなった。 左四つ巧者の若元春に立ち合いの圧力で勝てず、前に出られない。警戒していたはずの左差しを許すと防戦一方になり、土俵を割るしかなかった。花道を下がる表情には覇気がなく、八角理事長(元横綱北勝海)は、「弱気を見せちゃ駄目。気持ちで負けている」と切り捨てた。 「(大関に)上がるのは絶対」と、返り咲きを期して臨んだ今場所は2連勝スタート。初日は明生を一方的に押し出し、続く逸ノ城戦はさすがの対応力を見せたが、6日目から4連敗。諦めるように後退したり、引き技に足が出なかったり。黒星の内容も悪く、期待はしぼんだ。 大関に昇進してから1年足らず。「ようやくスタートライン」と、朗らかに上を目指した姿は遠い昔のようだ。入門時から逸材と評され続けてきたが、12月で30歳を迎える。相撲人生が問われる残り6日間になる。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕御嶽海(右)は若元春に寄り切りで敗れる=21日、福岡国際センター