5日に行われたフェンシングの全日本選手権男子サーブル決勝で、ストリーツ海飛(鹿児島クラブ)が吉田健人(警視庁)を破り、3年ぶり3度目の優勝を遂げた。父は米国人で母が日本人。昨年の東京五輪に出場した28歳は「今からがピーク」と話し、2年後のパリ五輪でのメダル獲得を目標に掲げている。 前回優勝した2019年は米国から移住したばかりで知人が少なく、「アウェーみたいだった」。今回は多くの友人を集めて大きな声援を浴び、「この優勝が一番うれしい。やっとホームゲームになった」と喜んだ。 3歳上の兄の名前は「天翔(てんしょう)」さん。「天を翔け、海を飛び、世界を制する兄弟に」との願いを込めて名付けられた。米国で生活していた14歳の夏に鹿児島の祖父母宅を訪問。08年北京五輪で太田雄貴が日本フェンシング初の銀メダルを獲得する姿をテレビで見て、触発された。 米ペンシルベニア州立大在学時に全米大学選手権優勝などの実績を残し、15年に日本国籍を選んだ。2回戦で敗れた東京五輪の大舞台は「とても楽しかったけど、メダルが取れなくて悔しかった」。次回への決意を新たにする機会になった。 以前は審判の判定に感情的になり過ぎる傾向もあったが、「メンタルで負けるのがもったいない」と経験から学んだ。母の範子さんも「大人になった」と息子の成長を感じている。現在はスポンサー探しを続けながら活動しており、「パリでメダルを目指したいので、サポートをもらえればうれしい」と訴えた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕全日本選手権の男子サーブル決勝で吉田健人(左)に勝ち、優勝を決めたストリーツ海飛=5日、東京・LINE CUBE SHIBUYA