最終戦でリーグ優勝を逃したソフトバンク。王者として迎えるはずだったCSは、2位から日本一を目指す戦いになった。選手たちは気持ちを切り替え、前日には王会長も「終わったことはしょうがない。心機一転でやろう」と呼び掛けた。 互いに強力なブルペンを擁する西武との戦いとあって、序盤の得点がカギだった。相手先発は難敵の高橋。藤本監督が「爆発してくれたら必ず得点になる」と期待していたのが、好調の柳田だった。その言葉通りの一撃で流れを引き寄せた。 三回に三森の二塁打で1点を先制した後、2死二、三塁で柳田に打順が回った。2球で追い込まれたものの、3球目の内角へのスライダーを捉えた。高く上がった打球は懸命に追う外野手の頭上を越え、右中間テラス席へ。「芯で捉えて、角度がついた」。その後は西武の追い上げにも遭っただけに、結果的にこの一発が大きかった。 短期決戦の強さは随一で、2018、19年は2位からポストシーズンを勝ち上がって日本一をつかんだ。当時を知る柳田は「変わらずに、やれることを必死にやるだけ」と言う。自らバットで体現し、CS突破へ力強く歩み出した。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕3回、3点本塁打を放つソフトバンクの柳田=8日、ペイペイドーム