柔道の世界選手権男子66キロ級は、日本の両雄が再び相まみえることになるのか。東京五輪金メダルの阿部一二三(パーク24)は8月、「(2人の)戦いとしては節目かなと思っている」と言った。大会3連覇が懸かる丸山城志郎(ミキハウス)を強く意識した宣言に、ライバルをここで突き放すとの決意がにじんだ。 4月の全日本選抜体重別選手権は決勝で顔を合わせ、阿部一が制した。東京五輪代表の座を懸けて延長を含む24分を戦い抜き、語り草になった2020年12月の決定戦以来となる直接対決。そこで再び退けた。丸山との戦い方のイメージは体に染み込ませており、「自分を信じて試合をすれば負けない」と言い切る。 雪辱を期す丸山は静かに闘志を燃やす。選抜体重別では阿部一に巧みな試合運びを許して好機をつくれず、延長の末に指導三つで反則負けを喫した。「きれいに勝つというよりも、泥臭く勝つ、ねじ伏せる」と念じ、普段の乱取りや筋力トレーニングでもう一段、自分を追い込んできた。 阿部一は「選抜は確かに勝負として大事だったが、世界選手権という舞台で勝つか負けるかはすごく大きくなってくる」と言う。追う立場の丸山も、今大会の結果が2年後のパリ五輪へ向けた代表選考にも重みを持つことは分かっているだろう。五輪王者と世界王者の意地がぶつかり合う。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕柔道全日本選抜体重別選手権の男子66キロ級決勝で丸山城志郎(左)に勝ち、優勝した阿部一二三=4月3日、福岡国際センター