北米アイスホッケーリーグ(NHL)に日本代表のFW平野裕志朗(27)がまた一歩近づいた。カナダ西部のバンクーバーを本拠とするカナックスのプレシーズンキャンプにトライアウト契約で参加することになり、日本出身の選手としては2000年代にロサンゼルス・キングズでプレーしたGK福藤豊(現・栃木日光アイスバックス)以来2人目、FWでは初のNHL入りを目指す。 平野は「やっとここにチャレンジできる。また勝負が始まる。最高峰の舞台に挑戦できることに感謝し、楽しんで戦ってくる」と意気込んだ。 昨季は2部相当のアメリカン・ホッケーリーグ(AHL)で、カナックス傘下アボッツフォードで1月からプレー。30試合に出場して5ゴール、7アシストをマークした。世界選手権ディビジョン1B(3部相当)に出場するため4月に契約解除となったが、7月に再び契約して復帰。AHLでの新シーズンを前に、さらに一つ上へ挑む。 プレシーズンキャンプに臨むのは、NHL契約の主力選手を含めて50人程度とみられる。北米の事情に詳しい関係者は「実力で(プレシーズンの)メインキャンプから参加するのは、かなりすごいこと。間違いなく大きな一歩」と話した。 カナックスのプレシーズンマッチは7試合。チームを二つに分けて2試合を行う25日のフレームズ戦がまずは関門になりそうだ。関係者は「他のチームも見ているし、名前が売れる。(いきなり)NHL契約を結ぶのは現実的にかなり難しいだろうが、いいアピールの機会になる」と言う。 レギュラーシーズンのロースターは23人で、チームが契約を結んで確保できるのは50人まで。シーズン中にNHLのチームからコールアップされるためにも、まずは「NHLとAHLのツーウェイ契約」をつかみたい。 AHLのアボッツフォードでは昨季、高い序列のFWラインで多く起用され、「NHLで何十試合も経験している選手たちに入り込めた」と手応えを得ていた。ラインを組むチームメート、相手DFからNHLのレベルを肌で感じ、もまれながら結果を出した。さらなるインパクトを残せるか。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕アイスホッケーのアメリカン・ホッケーリーグ(AHL)で2021~22年シーズンにアボッツフォードでプレーする平野裕志朗(Abbotsford Canucks提供・時事)