今月9日に京都市で行われた陸上の日本学生対校選手権女子1万メートルで、日本歴代3位の記録を持つ不破聖衣来(19)=拓大=が32分55秒31で優勝した。故障明けで万全ではない中、五十嵐利治監督の想定を大きく上回る好走。12月の競技会での日本新記録樹立を狙い、「今度は確実に世界選手権(来年8月、ブダペスト)に行けるように頑張りたい」と意気込んだ。 昨年12月の1万メートル初挑戦で、30分45秒21をマークした。しかし、今年1月以降は右アキレスけんの痛みなどに悩まされ、世界選手権(米オレゴン州)代表選考会を兼ねた5月の日本選手権1万メートルを欠場。6月ごろから練習を積んできたが、日本学生対校選手権の直前には貧血になった。負荷のかかるメニューはこなせず、出場を決断したのは3日前だった。 監督の指示通り、集団の中で1キロ3分20秒ほどのペースを守った。動いたのは7200メートルを過ぎてから。「出るプランはなかったけど、ここで勝負したいという思いがあった」。8000メートルからは1キロ3分15秒を切るラップを刻み、後続を突き放した。 7月には世界選手権女子1万メートルを現地で観戦。ハイレベルなスパート合戦に目を奪われた。五十嵐監督によると、レース後の第一声は「この人たちに勝つためにはどうすればいいですか」。世界に挑む覚悟を新たにした。 2024年パリ五輪の先にある28年ロサンゼルス五輪での金メダルを目指す。そこに向かうステップとして掲げる一つ目の目標が、新谷仁美(積水化学)が持つ1万メートルの日本記録(30分20秒44)更新だ。「世界と戦う中で、日本記録は一つの通過点」。あどけなさの残る表情を引き締めた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕日本学生対校選手権の女子1万メートルで優勝し、笑顔を見せる不破聖衣来=9日、たけびしスタジアム京都 〔写真説明〕日本学生対校選手権の女子1万メートルでゴールする不破聖衣来=9日、たけびしスタジアム京都