夢の舞台に立つためには、高い壁を乗り越えなければならない。初めてのワールドカップ(W杯)出場を目指すSH斎藤直人(25)が所属する東京SGには、2019年日本大会で活躍したSH流大がいる。「2番手でいいとは思っていない」。5歳上の先輩と、チームでも日本代表でもしのぎを削る。 神奈川・桐蔭学園高、早大時代から将来を嘱望された逸材。18年に日本代表に準じる若手主体のナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)に選ばれたが、代表には届かなかった。19年W杯には、その時にNDSにいた選手がメンバー入り。「自分も狙える位置にいたんだと思うと悔しかった。次は絶対出たいと強く思った」と振り返る。 悔しさを胸に、19年度に早大の主将として大学日本一を経験し、スーパーラグビーのサンウルブズでもプレー。あえて流のいるサントリー(現東京SG)に加入し、21年に日本代表初キャップを獲得。順調にキャリアを積み上げてきた。 俊敏なプレーと優れた状況判断で評価を高め、現段階では代表のポジション争いでリードしている。ただ、満足はしていない。7月にフランスに5点差で敗れ、「プレッシャーがかかった時のプレーの精度」の不足を痛感。もっと場数を踏みたいと思っている。 FWが獲得したボールをバックスにつなぐSHは、とりわけ経験が重要視される。流は故障などで今夏の代表活動から離れていたが、復帰すれば最大のライバルとして立ちはだかるだろう。W杯の「9番」を目指す斎藤にとって、本当の勝負はこれからだ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕ウルグアイ代表との後半、攻め込むラグビー日本代表SH斎藤直人=6月25日、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州