8月31日まで行われた競泳の日本学生選手権で、東洋大4年の今井月(22)が女子平泳ぎで2冠を遂げた。中学1年で日本選手権の表彰台に上がり、高校1年で2016年リオデジャネイロ五輪に出場するなど早くから活躍しながら、昨夏の東京五輪代表は落選。失意の底に沈んだスイマーに、復活の兆しが見えてきた。 特に成長を示したのが200メートル平泳ぎ決勝。3月の世界選手権代表選考会では、最初から飛ばし過ぎてタイムが出なかった。その反省を生かし、「残り(150メートル)の三つのラップを気をつけた」。狙い通りの泳ぎで2分23秒02をマークし、7年ぶりに自己ベストを更新した。 昨年末から1人暮らしを始めた。あえて自主性を求められる環境に身を置くことで「水泳に集中できている。他に興味がないぐらい、すごく夢中になっている」。拠点も移して練習時間は短くなったが、密度の濃い毎日を送っている。 インカレでは記録よりも順位を重視する選手が多い中、今井は「ちゃんと記録を残したいというふうに思って、きつい練習も乗り越えてきた」。代表に選ばれていたアジア大会と世界ユニバーシティー大会が新型コロナウイルスの影響で来年に延期されても、自分を見失わずに重ねた努力が報われた。 リオ五輪と17年世界選手権は個人メドレーで出場したが、2年後のパリ五輪は得意の平泳ぎで代表を目指す。「いろいろ寄り道したが、やっぱり自分の一番好きな種目。平泳ぎに運命を感じている」。迷いは消え、大きな目標へ突き進む。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕競泳の日本学生選手権女子200メートル平泳ぎ決勝、力泳する今井月=8月31日、東京辰巳国際水泳場 〔写真説明〕競泳の日本学生選手権女子200メートル平泳ぎ決勝を制し、笑顔の今井月=8月31日、東京辰巳国際水泳場