九回2死一塁から投じた118球目。高く舞い上がった打球が左翼手のグラブに収まったのを見届けると、オリックスの宮城は左手で拳を握った。9勝目を念願のプロ初完封で飾り、「めちゃくちゃうれしい。ゼロで行けたことが自信になった」と喜びに浸った。 20日の前回登板でも西武打線を8回無失点に抑え、自信を持っていたようだ。緩急を生かした投球で、得点圏に走者を背負ったのは2度のみ。要所で好守にも助けられ、「野手陣のおかげでテンポ良く投げられた」と感謝した。 前半戦は力勝負を挑んで打ち込まれる試合もあった。6月以降、勝てない試合が続く中で、「球速だけではない」と改めて実感。今月に入ってからは、13勝した昨年のいいイメージがあるという2段モーションを状況に応じて織り交ぜ、本来の姿を取り戻した。 2020年の入団1年目から成長を見守ってきた中嶋監督が新型コロナウイルス陽性で離脱。「帰ってくる時にいい順位で迎えられるように」。25日に21歳になったばかりの左腕が最高の投球を見せた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕西武に完封勝利し、捕手の伏見(左)と喜ぶオリックスの宮城=27日、京セラドーム