インスタートからの最終9番(パー4)。35歳でツアー未勝利の安本には、こだわりがあった。後半だけで1イーグル、4バーディー。9番もバーディーならばハーフ(9ホール)のストロークが29だ。「20台を出せる、と意識したらセカンドが硬くなった」。乗ったのは2段グリーンの下で、ピンまで約15メートル。狙いようもなかったが、「寄るとも入るとも思わず打った」というロングパットがカップに吸い込まれた。 前半は2ボギーながら「プレー自体は悪くなく、耐えられた」。我慢が実り、第2ラウンドでベストタイの66。首位に躍り出た。「スコア以上に、メジャーの舞台で(ハーフ)20台は自信になる」 北海道尚志学園高(現北海道科学大高)から東北福祉大へ。今大会前、世代は近いが大学の先輩で尊敬する池田勇太から助言をもらった。食事を共にしながら「もっとゴルフを楽しめばいい」「下を向いてプレーしないように」「お客さんが見ていて嫌な気持ちにならないように」と。それらの言葉を肝に銘じている。 身長175センチで、本人によれば「体重は50キロ」。細身のベテランは、決勝ラウンドに向け「楽しんで、一打一打に集中する」と誓った。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕13番、ティーショットを放つ安本大祐=5日、静岡・グランフィールズCC