豊昇龍の生きのいい姿が戻ってきた。2日目からの4連敗の後は立て直し、5勝目を挙げて白星が先行。「集中はできている」。多くを語ろうとはしないが、言葉の端々に手応えを感じさせた。 玉鷲の圧力に動じず、攻め手を緩めなかった。つかまえられなくても、相手が得意な突き押しで応戦。目いっぱい体重を乗せて押し出し、「やっと自分の相撲を取り切ったなと思う」と納得した。 モンゴル出身の大先輩、玉鷲には特に目をかけられてきた。おじの元横綱朝青龍が食事を大切にしていたことを引き合いに「もっと食べて体を大きくしろ。俺に負けたくないなら、もっと太れ」と言われたこともある。馬力で見劣りしなかったこの日の姿で、助言に報いることもできただろう。 場所前に右足を痛めた影響で、稽古を十分に積めたわけではない。それでも「この三役の地位を守っていきたい」と、持ち前の負けん気も胸に土俵を務めている。「残りの相撲も一日一番、集中していきたい」。新小結から3場所目。23歳はさらなる飛躍を思い描いている。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕豊昇龍(左)は玉鷲を押し出しで下す=18日、愛知・ドルフィンズアリーナ