引き分けも見えてきた延長十一回。広島の伏兵が満塁アーチで勝負を決めた。ヒーローになった磯村は「来た球を全部振るつもりでいったら当たった」と言って笑った。 2死一塁から小園がしぶとく内野安打でつなぎ、代打長野は粘って四球を選んだ。訪れた絶好機に九回の守備から途中出場した磯村は「投手も打者も粘ってこの展開。駄目だったら嫌だなと思いながら打席に入ったけど、割り切れたのでああいう結果になった」。初球の変化球を強振すると打った直後に本塁打を確信し、左拳を握って喜びを爆発させていた。 チームは今季東京ドームでの初勝利となった。この日も一回に秋山の2ランで先制しながら、追加点が奪えなかった。エース大瀬良の粘りも及ばずに追い付かれる嫌な流れだったが、広島一筋12年目の控え捕手が自身初の満塁本塁打で大仕事。「何とか勝ててよかった」と言葉に実感がこもった。 佐々岡監督は「本塁打はまさかとは思ったけど、大きな一発になった」。勝ったり負けたりで勝率5割が遠く感じる中、勢いをつけるには十分な勝ち方になった。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕延長11回、勝ち越しの満塁本塁打を放ち、チームメートに祝福される広島の磯村(中央)=15日、東京ドーム