精力的だった場所前の出稽古の成果が、初日に早くも表れた。霧馬山が貴景勝に快勝。「(相手は)大関だし、ちゃんと相撲を取ろうと思った」。真っ向勝負でつかんだ白星の味をかみしめた。 鋭い踏み込みで相手の出足を止めた。激しい攻防の中、大関がよく繰り出す左からの攻めにも崩れない。すかさず中に入り、一気に勝負を決めた。 出稽古が期間限定で解禁された6月には貴景勝を追って追手風部屋に出向き、2人で土俵を占拠するかのように番数を重ねた。胸を借りて得た感覚が、この日の一番に生きているのだろう。八角理事長(元横綱北勝海)も、「一発では押されない、というぐらいの気持ちが出てきている」と、霧馬山からにじみ出る自信を感じ取った。 幕内上位で2場所続けて2桁白星。番付運に恵まれずに三役復帰こそ果たせていないものの、地力は確実に増している。「負けても勝っても、自分の相撲を取ることをしっかり考えている」と無心を強調する霧馬山。今場所、上位陣を大いにかき回しそうな雰囲気が漂っている。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕霧馬山(左)は貴景勝を寄り切りで破る=10日、愛知・ドルフィンズアリーナ