３８歳栗山、込み上げる思い＝復調示すサヨナラアーチ―プロ野球・西武

　お立ち台の上で、西武の栗山は胸にこみ上げるものを感じた。今季、打撃不振に苦しんできた３８歳が、５年ぶりのサヨナラ本塁打。ようやくファンに勇姿を見せることができ、「お待たせしました」とあいさつ。その言葉には、これまでのもどかしい思いがにじんでいた。
　２―２の九回、代打で打席へ。２球で追い込まれたが、「とにかく、あとはバットに当てるだけ」と開き直った。内角低めの変化球をすくい上げると、右翼席への劇的なアーチに。大歓声に包まれてダイヤモンドを１周し、両手を挙げながら歓喜の輪に飛び込んだ。
　昨年、通算２０００安打を達成した巧打者。しかし、今季は調子が上がらず、４月１９日から今月８日にかけてスタメン落ちが続いた。それでも、腐ることなく「出番が来たら、しっかり自分のスイングができるように準備する」ことだけを心掛けた。この間、志願して２軍戦にも出場。努力を積み重ね、復調の糸口をつかんだところだった。
　「僕の与えられている立場は、手本となり、勝ちにつながるプレーをすること。責任感を持ってやりたい」。衰えを知らない情熱で、まだまだチームを引っ張っていく覚悟だ。　（了）
【時事通信社】
〔写真説明〕９回、サヨナラ本塁打を放つ西武代打の栗山＝２９日、ベルーナドーム