後半ロスタイム。鹿島の逆転ゴールにカシマスタジアムが沸いた3分後だった。鳥栖が左CKを獲得。藤田が直接狙い、GKがかき出したボールに田代が頭から飛び込んだ。土壇場で4―4。試合終了の笛が鳴った。 前半から持ち味を出したのは鳥栖。今季のチームの平均走行距離とスプリント数がリーグトップの運動量に加え、球際でも競り勝った。一時は3―0と鹿島を苦しめ、右サイドで上下動を繰り返した飯野は「切り替えと強度はどのチームよりも意識している」。同点劇も足が止まらなかったからこそ生まれた。 鹿島は後半7分、古巣戦だった樋口のゴールで2点差としてから、ようやくエンジンがかかった。攻撃に人数をかけ、両サイドからシンプルにクロスを入れて反撃。上田が決めて1点差とし、ロスタイムに染野のJ1初得点でついにひっくり返した。上田は「逆転できないのが続いていた。追い付かれたが、プラスに捉えたい」としつつ、「勝ち点を取りこぼすと終盤になると痛い」。複雑な表情で語った。 鹿島のバイラー監督は「見ている方には面白かったと思う」。互いに持ち味を出し合った試合だった。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕試合終了間際、同点のゴールを決める鳥栖の田代(左手前)=25日、カシマ 〔写真説明〕前半、シュートを放つ鹿島のアルトゥールカイキ(左手前)=25日、カシマ