節目が訪れようと、巨人の原監督に感慨はなかった。故星野仙一さんに並ぶプロ野球歴代10位の通算1181勝にも「突っ走っているだけ。それを考える余裕もなかった」。目の前に全力を尽くしてきた証しと言えた。 不振でも信頼してきた岡本和の2ランで先制。八回無死一、二塁では、制球に苦しむ相手投手を見て「力勝負をしよう」。するとウォーカーの適時打、岡本和の内野ゴロで計2点を勝ち越し。機敏に流れを引き込んだ。 いかに心の張りを保つか。「まだ青春まっただ中。迷うこともある」と話したことがある。3度の監督生活は、今季で通算16年目。9度のリーグ制覇、3度の日本一に輝き、挑戦と変革に喜びを見いだしてきた。米大リーグの戦術や最新機器の活用などにも積極的で「もういいやって思った時は隠居」と笑う。 63歳の今も「新米の1年生。それがモチベーション」と言う。この日の一勝も新鮮とばかりに「厳しい中でも理想の展開だった」と笑顔。自身の数字より、一時は4位に転落したチームの交流戦初戦白星に価値を求めた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕オリックスに勝利し、観客の声援に応える巨人の原監督=24日、東京ドーム